その夜、夢が降る

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2:時雨◆82:2019/10/04(金) 17:49


──そんな夢を見た。


起きたら汗だくで、鼓動が速くて、そして、



泣いていた。


さっきの光景が、まるで体感したかのようにリプレイされる。


涙がとめどなく溢れてくる。



さっきのは、夢。

ただの夢だ。


だって、雨が降る夜に満月なんか出てるわけないじゃない。

だから大丈夫。きっと大丈夫。


そう何度も言い聞かせても、なかなか動悸はおさまらない。


死ぬなんて、嘘だって。


そんな、夢で見たことを真に受ける私がおかしいのだ。

私は昔からそうだ。


なんでも真に受けてしまう。

『あっ、UFOだよ!』


そんな明らかな冗談にも、とっさに反応してしまうのだ。

だから、昔は『冗談の通じない面白くない子』というようなレッテルを貼り付けられてしまい、周りからは煙たがられていた。


でも、幼馴染みである光の、私に対しての明るい無垢な笑顔によって、その隔たりは徐々に消えていった。

そう…さっき、光が夢の中に出てきたのだ。



『ヒナタはもうすぐ──死ぬんだ』

壊れたビデオのように、さっきの光の声と、表情が頭の中で繰り返し再生される。


私に限って、“死ぬ”なんて…

ありえない。


拳を握りしめたが、力が入らない。


起きたばっかりだから、きっと寝ぼけているだけ。


少し震える足で立ち上がり、空色のカーテンを開けた。


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