剣士ステラと七つの宝玉

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2:ふたば◆r.:2019/11/25(月) 06:01

……それは、数時間前。
ステラが12歳の誕生日を迎えた朝のことである。

「おかーさんおかーさんおかーさんおかーさん!!」

「あら、ステラ。朝からそんなに慌ててどうしたの?」


ベッドから飛び起きたステラは、台所で朝食を作っている母の元へ駆けて来た。

「あたし、冒険に出たい!夢に出てきた女神様が言ったんだ!そろそろ旅にでも出なさいって!」

「冒険……女神様……ふふっ」

釜戸の火を止めると、母はくすくすと笑いながらステラの頭を撫でた。

「わっ……おかーさん?」

「もうそんな年頃なのね。わかったわ……お父さんお父さんお父さんお父さん!!ステラが冒険に出るそうよ!!」


先ほどのステラと同じように、とてつもないハイテンションで、
まだ起きていない彼女の父親を呼ぶ母。この親子、似ている。


「んー……ステラが冒険に……なんだとなんだとなんだとなんだと!?いつ出るんだ!祝食を上げなければ!
村全体で!これはめでたいぞ……!」

この家族、似ている。
父親も飛び起き、娘の宣言を歓迎していた。ハイテンションで。


「えっと、今から出ようと思ってるの。武器と防具、たしかこの辺に……あった!」

ステラは、タンスにしまわれた木製の鎧や布の服を取り出した。
なぜタンスに防具や武器がしまわれているんだ。

「あれ、でも武器がないなぁ。おかーさん、知らない?これくらいのナイフ……」

「ステラ、それなら……包丁代わりに使ってるわ。ごめんね!」

「えっ!」

なんとこの母親、娘の愛剣であった小型のナイフを、
料理に使っている。


「はっはっは、お前もしょうがないなぁ。ステラ、旅支度を整えるなら隣町に行きなさい。
3000G(ゴールド)やるから。十分な装備が買えるはずだ」

「こんなに!?お父さん、ありがとう!でもおかーさんは許さないからね」


お金を受け取ったステラは、捨て台詞を吐いて自分の部屋へ戻っていった。


「あはは……。あの子、一人旅させて大丈夫かしら?」

「平気さ。剣の腕だったらこの村で敵う奴は居ないんだ。外の世界でもやっていけるさ」


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