「それじゃ、行ってくる!」
旅支度を終えたステラ。防具をつけて金袋と荷物を持ち、家を出た。
両親の見送りに手を振りながら、元気よく駆け出していく。
彼女が最初に目指すのは、近隣の隣町。素手で戦うのは厳しいので、武器を調達するためだ。
ーーー通り道の林ーーー
隣町へ行くにはこの道を通る必要がある。
小さな頃から何度も両親と通っているので、ステラには慣れた場所だった。
「さて……武器屋さんは初めて行くなぁ。どんな剣が売ってるのかな」
そんなことを考えていると、目の前の茂みがガサガサと揺れ出した。
「ぐるるるる……」
「あ、野犬だ。噛みつかれたら二度と離れないって言うし、逃げたほうがいいかな……でも危ないから倒しておいたほうが……」
ステラの脳内に、選択肢が浮かび上がる。
倒す←
倒さない
「倒そう!」
なぜ選択肢が出た瞬間から答えが決まっているのだステラよ。
「よーし、剣はないけどかかってきなさい!」
「ガウッ!!」
臨戦態勢を取るステラに、野犬が飛びかかる。
「一発パンチをお見舞いすれば……!」
ステラは拳を引き、野犬に向かって突き出した。
しかし野犬はびくともせず、ステラは一旦下がった。
「えー、嘘!何で!?」
ステラ レベル1
ちから 3
まもり 6
はやさ 10
野犬 レベル3
ちから 4
まもり 8
はやさ 9
「そんな!あたしの力ってそんなものだったの!?剣があったら誰にも負けないのに……」
ステラの能力値は、片手武器ありきの物だった。
剣やナイフを持てば、敵う大人たちは居ないが……素手ではモンスターにも敵わなくなる。
「ぐるるる……」
「こうなったら……逃げるが勝ちね!」
ステラは野犬の上を飛び越えると、すぐさま出口目指して駆け出していった。
戦えなければ逃げてもいいのだ。