あれは、ずっとずっと遠い昔。 まだわたしが、誰かに愛され、必要とされていた頃の。 できそこないの私の記録は、繰り返し修正されて劣化して、鮮やかな日々の情景はざらついて。 それでもあなたの声は、聞いたことがあったから。 私に遺された、たった一つの小さな記憶だったから。 だからわたしはあの頃の約束のように、この言葉を紡いで、あなたのことを迎えましょう。 「おかえりなさい」