貴女に沈丁花を

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15:水色瞳◆hJgorQc:2020/05/21(木) 15:31

>>13
物語で語られる、『勇者の冒険譚』から、四年。あらゆる者が憧れる勇者とその仲間は、今。

「相変わらず素晴らしいな、この島は」
「スミレさんと出会ったのも、ここでしたよね」
「あの頃の俺らが団結できたのも、あいつのおかげだな······」
「なにブロウー。惚れた?」
「···(それはネアじゃないか)?」
「アルスト何か言ったー?」

ここは、とある海に浮かぶ島。そこには、常に色とりどりの花が咲いている。
その景色を見て、僧侶リリーの服を掴んでいる、まだ幼い子供が息を呑む。

「···ママ、ここ、凄く綺麗」
「でしょ?連れてきた甲斐があったよ」
「そういえば······アヤメはここに連れてきたのは初めてだったな」
「誰か住んでるの?」
「うん。本にも載ってないけどねー、私たちの、大切な友達が居るの」

その時だった。
アヤメを除く──つまり、勇者たち──その腕に、鳥肌が立った。

「──あなた、これ」
「······信じたくは無いな。うぅん、──全員、周囲を警戒しろ。アヤメ、この中に入りなさい」
「おいおい、何が起こったんだ、一体?」
「······え。おかしい、この気配。──そんなはず」
「──スキル発動、『守護神』。まさか、だが」

勇者エインの顔が、瞬時に鋭くなる。
それを見たアヤメは、訳は分からなかったが、咄嗟にそこにあった木の蓋を開け、その中に入り、



────直後。

「──フ。まさかそっちから来るとはな。さて。雪辱を果たさせてもらう」

「「「「魔王、カースモルグ···!」」」」
「何で?居るの!?」

死闘が始まる。


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