貴女に沈丁花を

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231:◆Ec/.87s:2023/12/31(日) 00:11

【???】【phase11】>>206

その時だった。
「······えーいっ!!!」
状況に見合わないほど元気な掛け声と共に、大聖堂の壁が一部吹き飛んだ。すわ突破されたか、とネムは一瞬固まったものの、その隙間から入ってくる少女達を見て軽く息を吐いた。
「······貴女達は······」
「ギリギリ間に合ったみたいでよかった。私はシルバーベル」
シルバーベル。······彼女を先頭にして、数人のベルシリーズが大聖堂の中に入ってきた。その色合いは十人十色である。文字通り十人いるかは不明だが、ともかく下手したら目に染みるほどの色彩の豊かさであった。
「はーい、ゴールドベルだよ。空けた穴は今塞ぐから待っててね」
最後尾で入ってきたゴールドベルが、金で空いた穴を塞ぐ。それだけでほとんど元通りになった。

「······その首元の鈴······聞いた事があります。神の遣いだとか······」
状況をどうにか呑み込もうと、色とりどりの少女達を見回しながらネムは呟く。
「神の遣いって言うと大袈裟だけど······まぁそんなものかな。それより!私達はただこの大聖堂を救いに来た訳じゃない。宝玉あるでしょ?」
シルバーベルの早口に、周囲のシスターのみならず他のベルシリーズも目を瞠った。
「ありますね。······もしかして、」
「うん。危なそうだから回収しに来た」
ネムは若干の期待を込めて問い掛ける。それに応じるのは冷淡なレッドベルであった。
「あぁ······ええどうぞ、こちらに!」
ネム自ら大聖堂の奥へと駆け出して行く。その姿をブラックベルや他2人が慌てて追いかける。


······後に残された面々が口を開かぬうちに、再び轟音が大聖堂の残ったガラスを震わせる。
「また来た······!援護、頼めますか?」
一人のシスターが背筋を伸ばし、レッドベルに問い掛ける。
「宝玉を回収できるまでは。ところで······ここ、人少なくないですか?」
「そうでしょう。シスターもモンクも関わらず王国中に駆り出されていますので」
もはや言うことはない、とばかりに彼女は魔法陣を展開し、そこから光線を撃ち出した。そしてまさにガラスを破って飛び込まんとした機械兵の胸元に寸分違わず命中させた。被害者はというと、撃たれた鳥のように墜落していった。
「······!」
戦いはまだ始まったばかりである。それを証明するように、数多の機械兵が大聖堂を取り囲む。それを見てレッドベルも、拾った棒を力強く握り締めた。


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