貴女に沈丁花を

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40:水色瞳◆hJgorQc:2020/06/17(水) 05:49

「2つあるのだが。どっちから聞きたい?」
「······私達に関係ありそうな方から」
「分かった。そうだな、コズミックという人物を知っているか?」
「······コズミックって、神様なんじゃー?」
「ああそうだな。だがまずは話を聞いてくれ。コズミックは正確に言えば神などではなく、この世界の管理者だ」
「いきなり飛躍してません?それに私に言っても良い話なんですかー?」
「だから話を聞けと。で、そいつが最近機嫌悪そうだったな。近々何かあるかも知れん」
「······うーん」
本当に自分とスミレに関係あるのか理解できないネアであった。
「で、関係ない方は?」
「大陸、つまり王国で新種の病気が発生した。以上」
「それだけー?」「ああ。何だ、ユノグの愚痴でも聞くか?······まああいつは若さにしてはよくやっている方だ。つまりあまり心配しなくて良い。というか罹っても別に何もないだろ」

事務的な会話だった。だったのだが、ネアにはいくつかひっかかる部分があった。何せカルトナはいずれ未来が見えるようになるという噂の生ける伝説である。
何か、ありそうだ。



だが今はデートのためのリサーチが大切である。
ネアは自分より千年近い先輩であるカルトナに、改めてオススメの場所を聞いた。
「······まさかここまで惚気られるとは」
「だって、本当なんですよー。······」

さて、ネアもカルトナも随一の魔法使いである。そんな二人が、王城の屋根に居るのを見られたらどうなるか。

『いた!あそこ!』『カルトナ様もいるぞ!』


「······何でばれるんですかねー」
「遠視魔法でも使われたかな。······いや、それは置いておこう。
じゃネア、しばしお別れだ。じゃあな」
そう言ってカルトナは遥か百メートル下まで落下していく。
それを見届けたネアは、少ししてワープ魔法の用意を始めた。


水色瞳◆hJgorQc:2020/06/18(木) 20:24 [返信]


その後紆余曲折あったが、どうしてもスミレと行きたい場所の下調べをなんとか終わらせたネアだった。

「何で私、伝説みたいになってるのー······うーん、あと一週間師匠に期待しようかなー」

ひたすらスミレとのんびりしたいネアである、明るい方向で利用できるものはなるべく利用したいのだ。
今回は偶然カルトナ───伝説の魔法使い───がいたためなんとかなりそうである。

もうあとは島に帰るだけなのだが、今は散歩をしているネアだった。特に用事はない、僅かの感傷を含めて王城を眺める。
他の勇者たちとはここで出会ったのだ。

「うん、暗いのは私らしくないねー。さ、かーえろかーえろー」
ゲートではなく瞬間移動魔法を使う。ゲートは目立つのだ。


そうしてネアが消えた後に。
そこをじっと見つめる黒髪の女性がいた。


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