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着いた場所は寂れた港。だが一応人はいた。
「はーい、大陸、ホロコースト港によう······こそ。ええ、ごゆっくり」受付の青年が一瞬ぎょっとしたが、さすがの営業スマイルで送り出してくれた。
「大丈夫かなー。······まずどこから行くー?」
「スミレ姐さんが決めていいですよ」
「じゃあお言葉に甘えて。······ううん、観光と私事混同しちゃうけどいい?」
「どこにするんですか?」
「大聖堂」
「······うん。いいよー!行こう!」ネアは一瞬でスミレの考えを理解した。
歩くこと40分。繁栄している場所に近い港を選んだため、さほどかからなかった。
「あれだよー。あの王城くらい大きいやつー」ネアはスミレの手を引きながら言う。
「本当だ、すごい······」こちらも、この世界で初めて出会う人混みに流されないように、ネアの手をしっかり握る。
アヤメは均整の取れた体によって、楽に人混みの間を縫いながら二人についていく。
······周りからは、何もなかった。
その幸せを、ただ見守るだけだった。
さて、王国最大、ひいては大陸、世界でもかなり大きい部類に入る大聖堂に到着した。
一言で言うと、荘厳なれど自由だった。聖職者(信者)に対する極度の戒律などはない。
神───この世界の管理者、コズミックの性格を表しているのだろうか。
三人は壁際で休憩しているらしきシスターを見つけて、声をかける。
「あのー、今いいですか?」
「はい?······あ、ネア様。ご無事で。······聞きましたよ、リリーお姉さまは亡くなったのですね」
「んんー?あ、コトミさん······」
シスター・コトミ。どうやら彼女はリリーを慕っていたようだった。リリーは大聖堂出身で、神から『聖女』に選ばれたおかげで勇者パーティーに同行していたほどである。まあ、後輩から慕われるのも無理のないことだろう。
「······近日中に、最大級のお祈りを捧げたいのです。遺品等は、ないでしょうか」
「ネア」「うん。こちらに」
ネアは空間収納魔法の中から、いくつかのものを取り出した。それは────
輝きをなお失わない剣。癒しを与える、ぬくもりに満ちた長杖。使いやすく、だがそれゆえに力強いダガー。傷に満ちているが、貫かれることを知らなかった盾。
「────これは、勇者たちの」
「そう。とっておいた、思い出の一部」
「私達には、もう要りませんから」
「よろしく、お願いします」
「············わかり、ました。必ずや、必ずっ······!」
泣くのを必死で抑えて、コトミは絞り出す。
そして、笑顔。
三人は彼女に礼を言い、自らも祈りを捧げて大聖堂を出た。
感想ありがとうございます!頑張って面白い小説を書いていきます!
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[会話中心です]
>>50
大聖堂を出た三人は、大きな市場にやって来た。
食料、衣服、道具、露店。それらが雑多に集まり、ものすごく大きな規模になっているのだ。
「おおーっ、すごい!」スミレは思わず声をあげる。
「ふふー。ここでご飯にしようかー」
「いいですね。おすすめってありますか?」
「ネアのおすすめならどこでもいいよ!」
「よーし。とっておきのお店に連れていってあげるよー!」
数分後。
「いらっしゃいま────って、ネア様じゃないですか!ようこそ!!ご注文は!?」
「あの、いいですってそういうのー······」
「お得意様なの?」スミレはわずかに目を見張らせる。
「ここ、本当にいいお店だからねー」
「おや、貴女たちは。噂になってましたよ」初老のウェイターが水を持ってきて言う。
「あ、お久しぶりですー。······そうですか、何かありましたかー?」
「いえ、特に何も。ただ、一部の人が暴発してたそうですよ。お気をつけください」
「······迷惑なんだけどなー」
「やっぱりネアって人気者なんだね」
「大丈夫、私の一番はいつまでもスミレだよー」
(あの、ウェイターさん)アヤメはテーブルに伏せながら呟く。
(何でしょうか)ウェイターも応じた。
(平気なんですか)
(早く慣れた方が良いでしょう)どこか遠い目をして彼は答える。
(······うう······)
その時。
「いらっし······へ?カルトナ様!?」
────「え?」「ん?」「あ」「あれ?······よう」
カルトナが偶然、そう、本当に素晴らしいタイミングで入店した。
「······ああ、貴女がスミレか。ネアがお世話になってるな」
「あー、この人は私の師匠だよー。伝説の魔法使いって言われてるねー」
「······はじめまして。スミレです」スミレはぺこりと頭を下げて、「いえ、むしろこっちがお世話になってるくらいです」と付け足す。
「仲がいいようで何よりだ。で、こっちの突っ伏してるのがアヤメだな。······おいどうした、酒でも飲んだのか?」カルトナは帽子を傾けて黒髪を見る。
「······なんで平然と······いやまあ、いいですか。はじめまして、アヤメです」
「ああ、なんとなくこいつらのことはわかってるからな······あ、そうだ。ついでだ、相席していいか?」
「「「どうぞ」ー」」
[ちょっとあとがき]
変な所で切りました、すいません。