貴女に沈丁花を

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53:水色瞳◆hJgorQc:2020/06/27(土) 21:54

六人のテーブルだったので、カルトナが入ってもまだ余裕があった(アヤメはカルトナの対面の席に移動)。まあ、これでまた誰か来たらおかしいのだが。

「注文どうするー?」
「あ、これ、このピザ!二人で食べようよ!」
「私は無難にパスタですかね。このバジルのやつ」
「まさかこれ、俺が奢るパターンか······?まあ良いがね。じゃ、お前ら野菜も食べろー。」
「「「親ですか」ー」」
「良いじゃないか別に」

そのような感じで時間は過ぎる。ここは外の喧騒を遮断する魔法が掛けてあるため、心地よい空気が流れている。
そんなどこか懐かしい心地よさが、この店の大きな売りだ。

「······ほっとする」スミレはピザをもぐもぐやりながら呟く。
「でしょー。なんか、良いよねー」ネアは柔らかく笑う。そしてスミレの差し出したピザをそのままぱくっともらった。
「お母さん······お父さん······はっ。何でしょう、なんか、······懐かしいな」いつの間にか夢を見ていたアヤメだった。その瞳はわずかに濡れている。
「······」
カルトナは黙ってサラダを食べている。老い始めた顔から伺えるものは何もない。


そして、また時間は過ぎて。

「いら────え?」
また誰か来たようだ。

「おい、お忍びなんだから声出さないでくれるか」
「あっ、申し訳ありません」
「良いのだ。私はここの店を気に入っているのでな。さて、席は────」


そこで。

「あれー?」ちょうどこちらを見たネアの視線と、
「ん?」見回す彼の


水色瞳◆hJgorQc:2020/06/27(土) 22:21 [返信]

途中で送ってしまいました、すいません!!!!




──────────────────────────

見回す彼の視線がぶつかり、
「え?」「あっ?」一瞬の瞬間の後で、




「あ────ユノグー?ここで何してるのー?」
「ね、ネア姉!?なぜここに!?」
「こっちの台詞だよお前王様じゃないの、ねえー!?」

店の空気が、揺らいだ。


〜しばらくお待ちください〜


「······ネア、この人は?」スミレが上目遣いでネアを見る。
「あー、こいつはねー、ユノグ。この国の王様で、私の腐れ縁ー」体を揺らしながらネアは答える。その姿はやや苦笑しているように見えた。
「「······王様?」」アヤメも加わり、二人で目と口を丸くする。

無理もない。
彼は······どこにでも居るような、町民の格好をしていたのだ。


「そうだ!私こそが!この王国の当代王!ユノグ=レイヴンだ!」


「いや、格好ついてないからな?それにここで叫んでいいのか阿呆」ここまで無言だったカルトナが口を開く。その瞬間、

『え??』『ユノグ様だ!』『ここにいる!ユノグ様ー!』『こっちを見てくださーい!』『応援してますよ!』
どやどやと、店の中に居た人達がテーブルに集まって来た。
カルトナはため息をつく。固まっている女子陣が動き出す前に、パチン、と指を鳴らして、


「『帰化』」
魔法を発動させた。



その瞬間、人々はまるで巻き戻し動画のように、元の位置に戻っていく。そして、何事もなかったようにまた食事と空気を楽しみ始めた。

カルトナはその光景を一瞥してから、冷や汗を流している青年を眺めて────
「さて。ユノグ?少し、説教を受けてくれないか?」笑う。凄惨な笑みを浮かべながら。






[ちょっとあとがき]
申し訳ありません。
すっごく。(土下座しながら)


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