>>62訂正
すずっと火を →ずっと火を
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「薪とかなら市場に行った方が早いよー」
互いにぴとっとくっつきながら街をゆくスミレとネア。
一応二人とも長袖の服を着ているのだが、それでも生地の関係で寒さはあまり防げない。
「市場市場······」
速くなる鼓動を無理やり抑えながら市場に駆け込む。
途端に色々と暖かい物の誘惑が襲いかかってくるが、アヤメを待たせているので屈してはならない。
「すいません薪くださいー」
数分後、二人は鍛冶屋の前にいた。そう、アヤメも訪れたここである。
「んー?あいよ。······で、どうした、普通薪屋に行くだろ」
「裏ルートって言うやつですよー」何気なくネアは答える。
大量の薪を空間収納魔法に片付けて代金を払った時、島を出てから二十分程度。余裕の時間だった。
「どうするー?どこか寄るー?」
「いや大丈夫。流石にくっついてても寒い······」
「うん。じゃあ帰ろうかー」
そしてネアは一瞬だけスミレを抱き締める。
戻ったか戻らないかのうちに、瞬間移動。
「ただいまー」
「·········うん」
「はーい」体を抱え込むようにして二人を迎えたアヤメは、過去最大級に赤くなっているスミレを見て苦笑する。またやったんですか、と。
アヤメの視線を避けてスミレを見つめるネアも、やはり恥ずかしそうだった。
「薪出してください、火を起こしてきます」
紙と五十本程度の薪を持ってアヤメは奥へと消えていく。
家が暖まるまで、スミレとネアは寄り添っていた。