「…やぁ。」 私の目の前で黒い髪の少女が親しげに声を掛けてきた。 誰だこの人。 「珍しいね、こんな廃墟に来るなんて。…そもそも人すら居ないけど」 現在地は元々映画館だと思われる廃墟だ。…周りは廃墟しかないが。 …確かに全く人が居ない。 「物好きだね君、良かったらここを案内するよ。」 …廃墟を案内されても困るのだが。 「はは、確かにそうだね。でも退屈凌ぎにはなるよ、来るかい?」 とりあえず、行くか。