放課後、オレンジ色に染まった廊下に四つの影が伸びていた。
「はい佐々木。これアイツの筆箱に入れてきて。」
伊藤さんに渡されたのは砂の入った袋。
あぁ、またか。またこんなことをやらなきゃいけないのか…
「なに突っ立ってんの?早く入れに行けよ」
「そうだよ、早くやれよ」
追い詰めるように飛んでくる大葉さんと澄川さんの声。
「…はい」
私はそう言うと、駆け足で教室に向かった。
今すぐにでもこの砂を捨てたい。でも、こうするしかないんだ…
教室に入って筆箱を見つけ、震える手で袋を開けた。
「ごめんね…ごめんね…」
私はそうつぶやき、春の筆箱に砂を入れた―