ーー昔々、蒼き海の王国に見目麗しい人魚姫が
七人おりました。その中でもエメラルドグリーンの髪、
金色の瞳、聴く者全てを魅力してしまうような歌声を
持つ、末の娘のアクアス姫は王国一番と言っても
過言ではない程の美しい人魚姫。
更に彼女は心優しく明るい性格をしていた為、国中の
人魚や魚達に深く愛されていました。
勿論、上の六人のお姉様と国王である父上も
アクアス姫をとても可愛がっておりました。
ーーそんな穏やかな海の王国ですが、厳しい掟も
ありました。海上と人間には近付いてはいけないという
掟です。みなこの掟に、何の疑いもなく従って
おりますが、それには訳があります。
人魚や魚は小さな頃から王国にある本や絵画で
人間が魚を捕らえている姿、人間が人魚の肉を食らう姿を
見てきていたのです。
その為、海の王国に住む者はみな、人間は残酷な
生き物だと信じきっておりました。
ーー例外はありません。末のアクアス姫も、です。
ただ、アクアス姫は物事をじっくり深く考えるのが
好きな性格をしておりましたから、人間はどうして
そんなにも野蛮で残酷なことをするのかを
考えることもありました。
誤字発見
❌聴く者全てを魅力してしまうような歌声
⭕聴く者全てを魅了してしまうような歌声
すみません……