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11:匿名:2020/09/26(土) 17:02

ニュースにはすぐ流れた。速報です、と繰り返し伝える無機質な声を一度とめ、医務室へと向かう。りょーたを呼び、かわりに部長についてもらう。りょーたはすぐに察してくれたようで黙ってついてきてくれた。誰もいない談話室でさっきのニュースを流す。りょーたは不思議そうな顔をして、画面を見ていたが、流れてくる被害者の情報と、その名前をきいた途端、顔つきがかわり、それでも最後まで静かに見続けた。「お伝えします。東京都✕✕区で刃物と銃をもった男によって、男3人と女3人が死亡、男児1人が重症を負う事件があったようです。詳しくお伝えします。被害にあったのは東京都✕✕区の成瀬さん一家。成瀬太郎さん、妻の成瀬華さんと4人の子供が犠牲となったようです。何者かの通報により、警察が駆けつけた頃には既に殺されており、犯人とみられる男がいた、ということです。現在男の身柄を確保、詳しい状況を調べています。」りょーたは何も言わず、こちらをみる。「……。ちかが発作をおこしたとき、携帯を持ったままだということに気付いた。りょーたやけんたが処置してくれているあいだに携帯をとり、まだ電話が繋がっていることを不思議に思った。画面には『母さん』と記されていたのに聴こえてくるのは知らない男の声で。もう消した、一人だけ残した、お前のせいだ、永遠に繰り返してて……。只事じゃないと思って、録音し始めた。子供の泣き声も聴こえるし、ちかの家の近くの警察署に連絡した。すぐに動いてくれて、調べてくれたらしい……。」りょーたは黙ってきいていた。話し終えると漸く口を開いた。「……じゃ、今から事情聴取か。俺もだよな。早く終わらせよう。」分かっているのか分かっていないのか、いつもと大して変わらなかった。


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