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葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
2:匿名:2020/09/25(金) 22:41

彼は、小さく、美しく、儚く、艶やかで、それでいて少年であった。150と6センチ、40少しの身体。小さな顔には猫目の三白眼、長い睫毛、ツンと上向く鼻、桜色の唇、全てが綺麗におさまっていた。元来、癖毛のその髪をストレートにおろし、前髪を切り揃え、後ろは肩程のおかっぱ。素っ気ないその髪型が、細く柔らかい髪にはよく合っている。透き通るように白い肌は日焼けには弱かった。細く長い指は器用だった。いくらか小さいその耳には穴がいくつかあいていた。フランス生まれの彼は幼い頃からピアスをつけていた。完璧でどこか日本人形を思わせる風体に対して、実際彼は拍子抜けするほど明るかった。口を開いて大きく笑うことこそなかったが、小さく満足げな笑みをよく浮かべていた。帰国子女で敬語が苦手だった。それでも可愛がられていたのは、彼がとても純粋で真っ白であるからだろう。若干、皮肉を言うところもあったが、それは彼の頭の回転の良さを表していて、トークがうまかった。只々、先輩のことを尊敬し、兄のように慕うその姿をみると甘やかしたくなってしまう。彼は、人よりいくらか小さく、いくらか身体が弱く、いくらか耳が聴こえづらく、いくらか目が悪かった。しかし、誰よりも美しく輝くその姿はまるで桜のようであった。


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