明くる日の朝、坂道はないのに無駄に長い道のせいで、入学早々鬱になりそうになりながらで校門をくぐると、
「おはよう、花音。」
「おはよ。晶ちゃん…元気だね…」
「アンタはもう死んだみたいな顔してんね。」
「だってさー。そろそろ私が大の苦手とする体育祭があるじゃない?」
「あー、アレ。」
「そうそう、徒競走も綱引きも持久走も、ぜーんぶダメ。」
「パン食い競争は得意そうね。」
「あははは、よく言われます…」
「あっ。花音、前!」
「前?…わふっ?!」
前を見ずに会話するのはすごく危険なのを忘れてた。
…と、そんなことを考える暇はないや
。
「あ、あの、ごめんなさい…あ。長月君…」
あれ?なんかものすごく…視線が痛い。教室の女子たちからマイナス100度くらいの冷たい視線を感じる…
ああ、長月君にぶつかったからか…
「俺こそ、ごめんね、けがない?」
「あ、ああ、全然!!転ぶのとかも慣れてるしっ!な、長月君もけがとかない?」
「うん、大丈夫。それじゃ。」
…ニコリ、と見た人全員を恋に落としそうな笑顔を向けると、そのまま廊下の人ごみに消えてしまった。
「……。」
「ちょっとアンタ、前見てないとでしょ。…花音?どした?」
「…てた…」
「は?」
「茅野君に似てた…!」
「はぁ?」
……まさか、クラスメートに自分の推しに似てる人がるなんて…!!
「アンタさ、気を付けた方がいいよ?」
「え?何に?」
「気づいてないの?長月にぶつかったときのあんたへの視線!鋭いなんてもんじゃなかったわよ?」
「うそ、そんなに?」
「そんなに。アンタもさ、長月のこと好きなのはいいけど、気を付けてよ?」
「うん…ん?好き?私が長月君を?」
「え?違うの?」
「違うよ?!もしかしてクラスで…」
「噂になってるよ、長月のこと好きで、わざとぶつかったんじゃないかって。」
「そんなわけないよ!まだ長月君のこと全く知らないし…」
これは…私もしかして…放課後、校舎裏に呼ばれちゃったり…?!
「って、それは古いでしょ。…まあ目ェ付けられるとかはあるかもね。」
「そ、そそそんな…!私は平穏でいたいのに…」
何でこんなことになったのか、誰かわかりやすく三行で教えてくれる人を募集いたします…