ピースフルエブリデイ

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3:匿名:2021/10/02(土) 19:08

キーンコーンカーンコーン…とお馴染みのチャイムが鳴り、担任がにっこにこな笑みを浮かべて教室へ入ってきた。
さっきまであんな状況だったのに、一瞬で席に座ってるみんなが怖い。
あ…嫌な予感がする。担任がにこにこな時は大体やばい時だ。なんでだよ、怖いよ。

「皆さん…今から円周率分以内に答えてください」
出たー。担任は数学科の男の先生で、何でもかんでも数学に繋げようとするのだ。鬱陶しすぎる
しかも円周率分って…3分14秒ってこと?案外余裕持って時間くれるね。

「学校中の消火器を奪ったのは誰ですか?」
え?消火器…?しかも学校中って。どんだけ暇なんだろ…。でもやるとしたら一人しかいないよね…

「言っとくけど私じゃないですよ!だって学級委員の私がそんなことするわけないじゃないですか!!ね!?」
ほら、やっぱりCさんが怪しい。そんなことするわけないとか言ってる時点で自爆同然だ。こんにゃく投げてくるくらいなんだから。
そんな変人のCさんが何故学級委員なのかって?やりたい人がいなかったからだ、大丈夫かこのクラス

「じゃあそのパンッパンの袋はなんですか?」
「え、これは…バッグです」
「ちゃんと答えてください」
「This is a bag! 」
バコーン!!という音が教室中、いや、学校中に響き渡った。その音の正体は、担任が教壇を叩いた音である。…いや、なんでそんな音鳴るの。

「発音がなってない!“This”は、舌の先を軽く噛んで発音しなさい!!」
え、そこ?一同困惑。なんなのこの茶番、もうツッコんでられないんだけど。
「はぁ…私が奪いました」
「だよね」

Cさんは我に返ったのか、スンッ…とすました表情で白状した。そんなすました顔されても…。担任もだよねとか、友達かよ。
というか、なんで消火器なんかとったんだろ。

「これなら、空を飛べると思ったんです」
「そっか…。消火器は約3kgあるんですよ。それプラスCさんの体重で、約73kgを消火器の噴射だけで浮かすことができる、って考えてるんですか?」
ちょっと待って、ツッコミどころが多すぎる…空を飛べる…?73キロ…?
Cさんの体重重すぎるでしょ、ていうかなんで先生知ってるんだ。

「舐めないでくださいよ、先生…私の体重は……」
「Cさん、言わない方がいいよ、仮にも女の子なんだから」
「え、仮にも?ちょ、ひどくない」
隣の席のCさんにひっそりと伝えた。体重、本当はちょっと気になるけど…。
ていうか、Dくん目が死んでるけど大丈夫そう?前の席のCさんのこと死んだ魚の目で見てるけど…いや、死んだ魚を見るような目か…?あれがあの爽やかなDくんとは到底思えなくて見なかったことにした。

「まあとりあえず、あとで返却してください。じゃないと池の周りをAさんと逆回りに走らせますよ」
「はーい」
「分かったならいいです、それじゃあHR始めましょう」
やっとか…
はぁ、とみんなが一斉にため息をつく。『ため息をつくと幸せが逃げますよ』とか担任に言われそう。

「ため息をつくと幸せと婚期が逃げますよ」
「…なんか、先生が言うと信憑性がありますね」
「…」
「ごめんなさい」
思わず口に出してしまって罪悪感でいっぱいだ。いつか結婚できますよ、ドンマイですとCさんが慰めていたが煽りにしか聞こえない…。


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