石膏褐色ポエム
(ご自愛ください的な←)
ふと見渡した時には 一人暗い穴に立っていて
見上げた青空は 背のびして届く高さじゃなくて
その縁で笑う彼らは 僕に気づくわけもなくて
あぁそうか ここは穴じゃない
周りの人が伸ばしてった柱の間に
いつまでもうずくまっているだけなんだ
僕がここでただ一人、うずくまっているだけだから
*
それなのに それだけなのに
なんでかやたらと喧しいな
その声の正体は 上から垂れ下がる古式受話器
『なんでうずくまってるの なんで顔をあげないの』
「煩いよ 鬱陶しいよ」
惨めな姿を笑われまいと
内弁慶ふりしぼって
柱の合間に逃げ込んだ
*
疲れたよ 疲れたのに
なんでか足が止まらないな
すすり泣いてる原因は 寄生虫「弱虫」のせい
弱気に内気に目立たずに そのくせ無いものねだってばかり
そんな僕を止めるように
置いてくれたんだろうこの罠を
体転ばしたそれはきっと 僕を強くする
秘密道具
*
ああ なんて 心地いい
優しい 暖かい兵器でしょう
ああ なんて 頼もしい
我慢 必要 無いでしょう
しかし これを使うには
寄生虫「弱虫」が邪魔ですね
だったら閉じ込めておきましょう
良心 弱味 泣き言
捨てて
酷心 強気 嘲り
装備して
さぁどうだ 行ってみようか
これできっと飛べるはず
僕に 気づかなかった彼らは
僕をきっと見上げるだろう
ぶら下がる古式受話器の声
発射音に欠き消された
*
人がゴミの様だ とは
よくいったものだ
眼下、凝らさねば見えない 彼ら
誰よりも高いこの柱
頂点の王座に腰掛けて
「ちょっと高いかな」
って嫌味言ったのは
待ってよどっちの方だっけ
*
出来ることならばもう少し 影よ刺し込んでやくれないか
「出過ぎた事を」と言われるだろう 誰か 横に座ってやくれないか
でも仕方ない 致し方無いだって
あぁそうさ この僕様を
造り上げたのは僕自身でさ
自ら望んでた気がするんだけど
なんでか不思議とこの玉座は、落ち着きやしないんだ
*
そうだった あぁそうだった
あんな風に輝きたかったんだ
だけど それらの輝きは
日々少しずつの賜物で
少し考えたら解るじゃあないか
地面からいきなり天へなんて
登りつめたとしても
ろくなもんじゃないだろうって、
ねぇ
*
誰からも見えない程高い
誰も見向きしやしない
玉座の上で独り縮こまり 膝を抱えた常態は
この場所を望んだ時と 大差なんぞありゃしない
無理矢理伸ばしたこの柱
日々少しずつをサボった柱
よく見りゃそこかしこヒビだらけで
世辞にも立派とは言えぬお姿だ
しまいこんだ筈の弱味も涙も
今更になって溢れてきた
その雫の 衝撃で
一瞬にして 崩れ去るくらい
僕にも 僕の心にも
僕は 無理強いしてたのだろう
*
まぶたを開けると 空が見えた
瓦礫の上だが とりあえず見えた
それがどうしてか安心して
寝転んだ頭にぶつかった機械
またもや垂れ下がってきた
古式受話器が こう言った
『お帰りなさい、お帰りなさい
長らくお待ちしておりました
メッセージを一件 預かっております
速やかに再生いたします』
ー ー ー ー
『ねぇどうしてさ 閉じ込めるんだい
本当に心から 要らないのなら
今すぐ全て 離して頂戴
君は僕が要らないんでしょう?』
ー ー ー ー
そして やっと 気づいたよ
そっと ちゃんと 抱きしめたよ
涙声の こいつはきっと
僕の嫌ってた僕だから
わかったよ 教わったよ
そうだ今から はじめようかな
僕を乗せている この瓦礫を
日々少しずつ 育てていくんだ
そしていつか きっと彼らと
同じくらいの柱になろうと 思うよ
>>3 >>4 >>5 は、以前書かせて頂いたもの達です。
見返すのに楽なのでペーストしたということです(おま
…書き込んでくださっても…いいんです、よ…?(チラッチラッチry