若草色の眼だけが知っている

葉っぱ天国 > 創作 > スレ一覧
29:みけ◆/M:2018/12/11(火) 20:33

目の前に広がるのはまるで私の様な白だった。
「透明なんだね、君は」
つい口から出てしまったようだ。君からは素っ気ない返事が返って来たけれど。
「しかし…先輩の方が透明って感じがしますけど…」
そんな訳ないじゃないか。私は何時でも君色に染まってしまう。
「私…?私はきっと白だよ」
「白…?」
「そう…何色にでも染まれてしまう白」 
そうだ。私は白だ。他の色に染まってしまう白。その他の色とは君なのだけど。そんなことを考えながら目を伏せる。
「じゃあなんで僕が透明なんです?」 
「なんでって…そりゃ君は誰が色にも染まることがないからでしょう?」
何時だって君は私色に染まってはくれない。 何時だって透明のままだ。
「そうなんですかね…?」 
「そうなんだよ」
全く…。気付いていないのがまたもどかしい。君の方を向くと西日が顔を照らしてくる。 
「              」 
君が何か呟いた。しかしその声を塗りつぶすように最終下校時刻を告げるチャイムが鳴る。タイミングの悪い奴だ。君ともっともっと一緒に居たかったのに。
「帰ろっか」
私は立ち上がる。
「そうですね」
君もそう言って立ち上がった。
カラカラと扉を閉め、君と話した宝箱に鍵をかけた。誰にも知られませんように。なんて願っても無駄なのは重々承知だ。
君の横顔を盗み見て思う。
少しは他の色に染まってみてくれないかい?


みけ◆/M:2018/12/11(火) 20:45 [返信]

>>27は後輩目線、>>29は先輩目線で書いてみた
一言で言うと両片想い。

後輩
美術部部員。
先輩のことが好き。
きっと叶わないと思っていながらも、やっぱり好きで苦しくて、好きという気持ちをなかったことにできたら楽だったと思っている。
平凡で特に得意なことはないが絵が好きだったので美術部に入部した。他の先輩に聞くと廃部寸前の美術部に入部してくれた天使だとのこと。


先輩
美術部部員。
後輩のことが好き。
自分の好きに気付いてもらえず自分だけ好きで溢れるもどかしさを感じている。
普段は独りでいることが多いが好きで独りでいるらしい。
美人で割りとモテる方だが、本人は周りからの好意に気付いていない。


全部 <前100 次100> キーワード
名前 メモ