消えて_______
知ってる?お母さんがよく‥私に言ってた言葉。
《 ユメ見物語 》
殴られ、蹴られ、傷付けられ。
そんな生活もう飽きた。歩く事も許されないし。
「消えろ‥消えろ消えろ!消えろって言ってんのにあぁもう!‥
なんで消えないの‥」
そんな事言われても困るのは私だよ‥消えたくても消えれないんだから。
歩けないし。
「もう良い‥‥ギャンブル行ってくる」
ガチャン、大きな音を立てて消える母。やっと行った。
痛い。痛い痛い。外にでも行こうかな。あ、歩けない‥‥そうだ。車椅子使えば良いよね‥
「よっ‥‥い‥しょっ‥と‥‥」
車椅子、乗りにくいな。しばらく車椅子と格闘した後
ようやく観念したのか車椅子は私をすんなり乗せてくれた。
「‥行こ‥」
玄関のドアを開け待っていたのは私の親友。カコ。
「行こ!ユメ!」
「うんっ」
カコだけは私の味方になってくれる。それが嬉しくて仕方ないんだ。
まだ12歳だけど。
「よしっ、私が押してあげるよ!」
そう言って車椅子の持ち手を持ち押し出す。少し風がつよい‥
「ユメ、今日は電車乗ってお出かけだよ!」
「電車‥‥?」
電車ってなんだろ。この足でも行ける場所なのかな。
「おっきくて大きな音で凄い凄いの!」
「へぇ‥」
あまり説明がよく分からない。けど凄いんだということはわかった。
その瞬間、ドンッと音がしてカコが地面に倒れた。
「あ、悪い。大丈夫か?」
私は驚いた。だって、いなかった、いや、見えなかったはずの
深くパーカーを被ったかわいい?というよりは美人系の年上のお姉ちゃんが
カコに手を差し伸べていたんだもん。
「えぇ!?あ、う、えっと、は、はい!」
間抜けな声出しちゃって‥‥心の中では思えるけど
口で発する事はできない。喋る事も辛いから。
「そうか。それは良かった。じゃ、達者でな。」
そう言って姿を消した女の人。カコは手をじっと見つめてる
「‥‥‥‥あったかかった!」
「‥‥そうなんだ」
何を言い出すのかと思ったらそんな事か。なんだ。