気付いたら走ってた。
彼と肩が触れただけで、目が合っただけで胸がどきどきしたのは何故だろう。
彼から逃げてしまったのは何故だろう。
自分に問い掛けても答えは返ってこなかった。
そりゃそうだ。自分が分からないことを自分に問い掛けてどうする。
走っていた足を止めた。
「はー…、あーあ、びしょ濡れ。」
雨は未だ止まず、容赦なく私の体を打ちつける。
なんだ。瀬戸君に傘の中入れて貰った意味ないじゃん。
路地裏の壁に背を預け、ずるずると座りこんだ。
頬と胸に手を当てる。
頬が熱い。火傷しそうなくらい。
胸がどきどきしてる。破裂しそうなくらいに。
「…なんでだろ」
走ってから大分経ったと思ったんだけどなぁ。
笑みがひとりでに零れた。
…ううん、きっとこれは走ったせいなんかじゃない。
頬が熱いのも、胸がどきどきするのも、
「ぜんぶぜんぶ、きみのせい。」
*
何が書きたかったんだ自分よ。