グレイ目線
船に俺が入ったときの一言が…。
「でかっ!!」
だった。
ま、普段あのぼろ酒場にいるから余計にそう感じたのかも知んねーけど。
シャンデリアとか、カーペットとかすごくて俺場違いかも、って思った。
ルーシィはどんな表情してるんだ?
「…ま、こんなもんよね」
こ、こんなもん?!
いや、お前が金持ちなのは知ってるけど…まさあのこんなもんで終わるとは…。
でも、ルーシィがウエディングドレスを着たら…きれーだろーな。
ま、俺はその姿を拝めるだけで十分だけど…。
「こちらに入ってくださいまし!」
甲高いバーさんが、ある部屋からちょこっと顔を出し、呼んでくる。
もう少し俺は、ここでルーシィのことを考えていたかったけど、行くしかなかった。
「改めて紹介させていただきますわ!!わたくしの名前はダイヤと申しますの。
で、こちらに座ってるのが私の夫パールですわ!」
うわ、名前からして金持ちって感じだな。
でも、こんなやつよりルーシィの方がよっぽどいいけどな。
「あたしはルーシィ」
「俺はグレイだ。で、依頼内容は…」
「忘れてましたわあなた!!」といってばあさん…ダイヤさんが叫ぶ。
本とかんだけーな、おい。
「本当は、クリスタルドレスを着て守ってもらおうと思ったのですが、出さないことにしましたの。
で、あなたにはこちらのドレスを…」
「待ってください」
唐突に叫んだ。
本当は、こんなこと言うつもりなかったんだけど…。
「俺は、氷の造形魔導士だから、こいつに似合うぴったりなドレスを作ります」
俺が選んだドレスなんて、もう着ることはないだろう…。
最後、なんて言いたくねーが俺の作ったドレスを着て踊ってほしい。
「ルーシィ、いいか?」
「うん!!」
(当り前だよグレイ。だってグレイの隣でグレイの作ったドレスなんてもう着る機会なんてないと思うし…)
「わかりましたわ。でも、髪などの方はこちらに任せて頂戴」
「はい」
「では頼みましたわ」といって、夫婦は必要なことだけを伝えると出て行った。
よし、ルーシィ似合うドレスを作んなくちゃな!
やっぱり、あのふわってしたやつか?いや、でもルーシィの体系ならすっとしたドレスも…。
「グレイ、こんな形のドレスを作ってほしいんだけど…」
そういって、光ペンで書き始めた。
たしかに、こういうのはルーシィの方がいいしな。
ルーシィが大雑把に描いた絵を見て、そこからどういう風にするかを決めた。
「じゃあ、ここをこういう風にしたらクリスタルドレスみたいに…」
「髪飾りはこんな感じで…」
楽しい。
依頼の前にこの文字が浮かんでしまった。
こんな風になれたらいいなって…。
だってまるで…。
「夫婦みたいだろ…(ボソッ」
「なんか言った?」と聞かれたが、首を振ってさっそくドレスの造形に取り掛かった。
to be continued
多分ラストは 勉強の息抜きということを建前にしてるけど、内容はもうくそ大変なことになってるからお気をつけて(笑)
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『あらきれいね、お人形さんみたいだわ』
『ルーシィちゃん大きくなったわね。今度わたくしのお家でパーティーをやるからぜひいらっしゃって』
『あらあら、もうみっともない。ハートフィリア家のルーシィ様を見ならないなさい!』
ああ、これは私が小さい頃に良く聞いたフレーズ。
きっちりとドレスを着て、偽物の笑顔を張り付けて「ごきげんよう」としなやかに笑う。
あはは、あれまだ小さいころだったのに…。
今見るとパーティーで一人椅子に腰かけながら座る私は結構大人びてたんじゃないかと思う。
でも、本当につまらなかったな…。
「ルーシィ、大丈夫か」
「グレイ!ええ…」
そうよ、私はもうフェアリーテイルなんだから!
何年前のこと思い出してるのよ…もう。
グレイが造形してくれたドレスは少しひんやりしている。
グレイとそばにいて火照ってしまった体を覚ましてくれる。目が、冴える、脳が澄み渡る。
ふーん、ここのドアはこういう形なのね、大体あの辺の家系かしら…。
「ル、ルーシィ。お前何分析してるんだ?」
「あ、うん…。ドアを見ると相手がどれくらいなのか大体判断できるのよ。ま、悪い癖なんだけどね」
そうよルーシィ落ち着いて!
ドアの前に立ったからって…どうせみんなルーシィハートフィリアなんて覚えてないわよ!
ドアがゆっくりと開かれた。
グレイの腕を取り、なぜか私がエスコートをした。
「いいグレイ、変なぼろ出さないでね」
「お、おう…」
「あれ、もしかして君…」
ひと際大きな声が聞こえた。
だ、誰に向かって話してるの?この中で大きな声で話すなんて無礼だわ!
あれ?なんかあの人こっちに向かって歩いてきてなーい?
私の前で隣にグレイがいるのにひざまずいた。
そして、私の身に着けている手袋を外して、甲にキスをされる。
あれ?グレイ驚いてる?
ここでは普通なのになー?
「おっと、いきなりはしたない真似をしてしまいました」
あ、イケメン…。
「わたくし、セボーン家のものです…」
「ルーシィ・ハートフィリア様」
え?
今なんて…。
会場がざわめいた、それと伴い私の視界は回っていった。
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(´;ω;`)