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「みんな、急いで逃げて!」
海の言葉を合図に僕は茅野の手をとって走りだした。
瞬間、爆発にも似たような音があたりに響いた。
って、あれ……?
何も衝撃が来ない? 僕は不審に思って後ろを振り向いた、と――。
「うわぁっ!」
僕は思わず目をつぶった。
すごく、強い光が視界をさえぎってきたのだ。
「チッ」
「何これ!」
あたりでみんなの悲鳴が聞こえた。
「お前たちが暗視ゴーグルをしていて助かったぜ。おかげで強度が増した」
「何なの、これ……」
僕はなんとか目を開こうと頑張ったけれど無理だった。
「おそらく、フラッシュグレネードだ。衝撃を与えると強い光を発する爆弾で、殺傷能力はないけど、人の視界を遮ったりできる……」
近くで海の声が聞こえた。彼女も苦しそうな声をだしながら僕に解説してくれているあたり、おそらくやられたのだろう。
「そんなの、私には通用しないんだから!」
この声!
「たぁっ!」
誰かが、犯人たちと闘っている。おそらく……。
「やめろ、岡野!」
前原くんの声が聞こえた。
「ひなた、あいつ。暗視ゴーグルしてなかったな……。まぁ、今回はさすがに助かったけど」
「でも、暗視ゴーグルをしていなくても通用するよ⁉ 私も、目が……」
「ひなたの場合、暗視ゴーグルをしていようとしていまいと。フラッシュグレネードがあろうとなかろうと、突っこむだろうけど……」
あ、そういえばいつだったか。彼女、夜の訓練の最中に暗視ゴーグルをはずして射撃練習をしていたっけ。
「でも、さすがに一人の力には限界がある……」
僕はなんとか目を開いた。
岡野さんは、遠目からだからよくわからないけど……、目をつぶっていた。
このままだと!
「ヌルフフフ。ご苦労様です」
⁉
「皆さんが足止めをしてくれたおかげで、なんとか間に合いましたねぇ」
ここででてくるとか……。
「早速、手入れを始めますか……」
さすが、僕らの担任だ。
僕は安心して、なんだか力が抜けてしまった。
☆
ここでまさかの殺せんせーを登場させてしまった……。