>>511
恐縮です。本編を文章化しただけなので私の功績ではありませんが、ゴジラの良さを知っていただければ何よりです。
【プロローグU:1954-2017】
1954年11月3日、人類は史上未曾有の危機と恐怖を体感することとなった。ハワイ諸島ビキニ環礁で米軍によって行われた熱核兵器実験"ブラボー"がもたらした高濃度放射能汚染が、太古より奇跡的に行き長らえた恐竜を恐るべき怪物へ変異させたのである。暫く後に日本の大戸島に出現したこの怪獣は、現地の海神の伝説になぞらえ"ゴジラと名付けられた。ゴジラは程なくして東京に上陸し、高圧電流や当時最新鋭の軍事兵器をすら退け、東京を火の海へ沈めていった。
惨劇の後、人類に残された希望はただ一つ。若き科学者"芹沢大介"博士の発明した水中酸素破壊剤"オキシジェン・デストロイヤー"であった。
当初、芹沢博士はその使用を頑なに拒んだ。平和的な酸素研究の過程で偶発的に産み出されたそれは、砲丸大の大きさですら東京湾を死の海へ変えることが出来る、核兵器にも勝る大量破壊兵器としての能力を十分に備えたものだったからである。
それでも尚、かつての大戦以来再び焼け野原と化した東京の惨状と、平和への祈りの歌を目にした芹沢博士は「ただ一度きり」との条件を付けて利用を承諾した。製法を主とした、オキシジェン・デストロイヤーに関わる一切の資料を処分さえして。
そして東京湾で行われたゴジラ抹殺作戦は、如何なく効果を発揮したオキシジェン・デストロイヤーの効能によって成功、ゴジラは骨の一片をすら抹消され、死んだ。
歓喜に沸く人々、しかし芹沢博士の姿はそこにはなかった。芹沢博士は最後の資料……オキシジェン・デストロイヤーの製法を知る自分自身を、自害によって葬った。親友とかつての想い人の幸福を祈り、そして人の業が生んだ哀しき怪物を憐れみながら……。
【続】
ドキドキ感が面白いです。