>>399の続き
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「大変申し訳ございませんでした。お詫びとしては"貧相な代物"でございますがどうかお受け取りください」
「エスポワールさん、そんなに堅苦しいことはやめてくれますか?この話は、こちらの責任ですよ」
タキオンの幹部であるニックに言われてエスポワールはやっと顔を上げた
ニックの書斎の机の上には"貧相な代物"と言っていた高級なフルーツが籠いっぱいに入っている
どれも綺麗な形と色を持っており"貧相な代物"とは思えない
「それに、この事は気にしないでください。むしろ貴方は、胸を張って歩くほうがお似合いですよ」
ニックにしては、やけに優しく言い返した
彼は、何度も女の幹部とか相手をしているのだが、ここまで男らしい幹部はなかなか見たことはない
だからこと、彼女に優しく接しているのだ
…エスポワールに逆らうと少し怖いというのも入っているのだが
ディーオという組織ではなく、エスポワール自身に逆らうことが
まさか、そんな恐怖心をニックが持っていると知らないエスポワールは彼が輝いて見えた
「ニックさん…私は男として生まれていれば、なめられることもないのでしょうか?」
「いえ、それは決して…」
「今日は時間を裂いてまで面談させていただきありがとうございます」
ニックが言いかける前に、エスポワールは出ていってしまった
同時にニックの書斎には、リュナが出現していた
「ニック、あの女、人間じゃないぜ」
「そんなのは、とっくの昔に分かっていますよ」
「まじか!ならいいけどさ…なんかあの女から変なものが出ている」
「変なものとは?」
「うーん、オーラみたいな感じだったけど…なんつーか…強い念みたいな感じだな。しかも未だにこの部屋に強く残っているし」
エスポワールが座っていた場所を見つめながら考えるような仕草をした
しかし、少なくともニックの生死に関わる程でもないとわかるとすぐにいつも通りに戻る
そして、またニックと他愛もない話を始めるのだ
「そういえばさ、ニックはなんでエスポワールが怖いんだ?」
「あぁ、怖いというか扱いが難しいんです。彼女は結構問題児なんで」
「え?そうなの!?いやそんな感じはない…いや、大ケガさせているからそうでもないか」
「過去に、無理やり酒をたくさん飲まされて酔っぱらったエスポワールに絡まれたことが今でもトラウマに…」
「なんつーか…ごめんな、ニック」