そこで一旦ママは切った。
私の知らないお姉ちゃんの話だもんね。
「彩美は、ピアニストになることが夢だったのよ。彩美がおつかいに行ったカバンも、ピアノのスクールカバンだった。その中に、旅立ちの日にの楽譜が入っていたわ。中学校の先輩の卒業式で彩美が弾くって。ずっと練習していたの。ブラジルへは行けないから、ママと日本に残ったの。パパと和騎、彩黄をブラジルに見送ってね。すごく前で、3人はブラジルに住んでいたのだけど。記憶ない?まあ、実際ブラジルでサッカー終わったら、フランスに行ってたんだけどね。」
え、そうだったの?
だから私、フランス語話せるの?
「すごくいい子だったわ。彩黄もそういう子になるのよ。」
はい!
なります、もちろん!
お姉ちゃんの人生短かったから、私がその分長く生きる!
続く
>>648の続き
あぁ、ブラジルに着いちゃった。
海外に行って嫌なのって初めて。
私だって、フランスにいたから日本人だと思ってなかったし。
「小塚君、久しぶり。」
「久しぶりだな、小塚。」
「初めまして。上杉和騎です。」
「はいぃ!私は上杉彩黄です!よろしくお願いします。」
私たちは小塚さんにあいさつする。
小塚さんって誰なの?
ママもパパも久しぶりって、会ったことあるんだ。
「和騎君、彩黄ちゃん。初めまして。アーヤ…彩さんと和典君と仲良くしてた小塚和彦です。よろしくね。」
小塚和彦さんは、優しい瞳におっとりした表情。
なんとなく、落ち着くかも。
「美樹。アーヤと上杉。」
小塚和彦さんが後ろの女性にママとパパを紹介している。
アーヤって呼び方慣れてる。
相当仲良しなんだ。
小塚和彦さんって、元カレじゃないよねえ!?
「初めまして。和彦さんと付き合っている美樹です。ブラジルの旅を、よろしくお願いします。」
ブラジルの旅をよろしく?
一緒に行くってこと?
美樹さんと?
どういうことなの〜?