あくる日、妖怪の山にて…
VI−z「うおぉぉぉぉぉぉ!?」
死角から突っ込んできた城壁のごとき巨大な『それ』にVI−zの体が跳ね飛ばされる。
「ゲハハハハハァァァァ!!人間ンンンンンン!!」
それは牛だった。いや正確には二足歩行で直立し獅子の如く頭に剛毛と角を生やしている牛っぽい顔の妖怪であった。
牛っぽい顔の妖怪「ヒサシブリノ人間ダァァァァ!オイキサマ人間ダロ!!人間ナンダロ!?ナア人間ダロォオ前!!!」
VI−zの体にのしかかり一方的にわめき散らす。
VI−z「うっせー!!顔近づけんな寄るな息臭いんだよ変態牛野郎!!私は人間じゃ…」
牛「置イテケ!肉置イテケェェェェ!!テメエノ肉オイテケヨオォォォォ!!」
VI−zの存在はまだ妖怪の山全体に広まってはいない。人間と勘違いされ襲いかかられても不思議ではなかった。
故にちょっとした散歩か探検気分で主人の工房を抜け出し一人で山を彷徨いていたのは間違いだったと彼女は後悔する。
VI−z「話聞いてくれない!?だからちげーって!……っ、あーもー!!」
牛っぽい妖怪の腕を彼女はあいた腕でガシっと抱え込む。
VI−z「調子のってんじゃ…、ねえぇぇぇぇぇ!!」
そしてのしかかる牛妖怪の勢いと重量を利用して巴投げの要領で投げ飛ばした。
牛「ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!?ナンノオ!!」
しかし相手は巨体に似合わない俊敏さと器用さで姿勢を持ち直し、地面に激突すること無く着地する。
そして瞬時に再び飛びかかってきた
VI−z「いっ!?でかくて器用で早いとか反則だろ…!ってうわぁ!!」
牛っぽい妖怪は勢いのまま起き上がりかけだったVI−zの左肩に食らいつく。
牛「ハッハア!人ニシテハヨクヤルガナア!マズハ左手ェ!トッタァァァァァ!!」
が、
メキバリゴキメリィ!!と人から発するとは思えない金属の破壊音が響いた。