【学パロ】 第4話
sideうらた
楽器を買った翌日の朝。
いつも通り学校へ行く支度を怠いと感じながら済ませて、挨拶をして家から出る。
不意にヒュッ、と冷たい風が茶色の髪を揺らした。
今日はいつもより寒い…
そう思いながらついたため息は白く、少し宙を舞ったあとふわりと空中に消えた。
坂田を待っているのさえ怠い。
さっさと行ってしまおう、そう思って踵を返した瞬間ものすごい足音が聞こえる。
この慌ただしさは…坂田か。
「待ってよぉうらさんー!」
「おせぇよバカ。」
「第一声がそれ!?」
あ、坂田が三文字熟語使ってる。
明日は雹かな。
「んじゃ行こかー!」
「はいはい」
ほんと坂田は不思議な奴だ。
さっきまで怠かったのに、怠さが無くなった…ような気がする。
初めて会ったときもこんな感じだったっけ…。
瞑想に耽っていると坂田に呼び戻された。
「うらさん?大丈夫?」
「おう、ちょっと考え事。」
「ライブ楽しみやね!」
坂田は眩しいほどにキラキラとした屈託のない笑顔を見せた。
そうか、もうすぐライブだ。
俺も、密かに楽しみにしているんだ。
「ん、そーだな。
…ミスんなよ〜?」
「うぐっ、うらさんこそ〜」
俺はミスりません〜、なんて茶化す様に言えば悔しそうにうぅ〜…とうめく坂田は本当に子供っぽい。
天月とじゃれてたときも小学生か、と思うくらい子供っぽかった。
………身長差が大きいとか気にすんな。
談笑しているうちに学校に着き、教室へ上がっていく。
と、靴箱で靴を履き替えているとき一年らしき白髪の少年と、
俺や坂田と同い年のそらるさんが立っていた。
「うぉっ、びびった。
そらるさんおはよ。
…そっちの子は?」
「入部希望」
俺の質問には答えず眠そうな声でそう答えるそらるさん。
そらるさんが軽音部…?
全く想像がつかない。
そう考えていると坂田が話に割り込んできた。
「入部?センラマンもまーしぃも喜ぶね!」
またさっきのように屈託のない明るい笑顔を見せた。
「こいつも。」
そう言って指差したのは白髪の少年。
どこかで見たことあるような…?
「まふまふです!
本名じゃないけど…
よくそう呼ばれてるのでそう呼んでくださいね!」
まふまふと名乗った少年もまた坂田のような人懐っこい可愛い笑顔を見せる。
俺もこの二人のように笑えればな、なんて思った。
「へぇ、入部希望が二人も?
嬉しいねー♪」
「僕らが卒業しても平気やね。」
放課後、部室で3年二人に紹介すると嬉しそうにセンラマンは少しばかり悲しそうに言った。
そうか、卒業か…
この二人がこの高校から出るのはやっぱり寂しい、かな。
脱字
まーしぃは嬉しそうに、センラは少しばかり悲しそうに言った