短編【不思議な呼吸法】
「せやああああああああッ!」
カッ!
木刀と木刀のぶつかり合う音が道場内に響く。今日もまた、蒼太と蒼爺の稽古が繰り広げられているのだ。蒼太は木刀の攻撃を弾かれ、吹っ飛ばされるが、猫のように回転しながら着地し、居合いの構えを取って、そのまま走る。そして上段と見せかけた下段攻撃。
「フェイント感丸出し」
ゴンッ!
蒼爺は拳骨を蒼太の頭に落とし、蒼太はそのままバランスを崩し、転ぶ。
「いっでええ・・・・」
「なんつーかあれだな、お前は呼吸が荒いな。」
「いやいつもスタミナはあるし、整えてるけど!?」
「対人戦になると、息が荒くなるんだよ。焦りみたいにな。逆に普通のときはお前の呼吸はしっかりしてるんだよ。」
蒼爺の難しい言葉を、蒼太はよく理解できず、悩み、頭を百八十度回転させて悩む。しかしわからず、そのまま道場の床に寝転がった。
「わからないのか・・・・・じゃあ教えてやる。肺を大きくしろ。呼吸を強くして、ひょうたんくらい破裂させられる肺活量を手に入れろ。そうじゃなきゃ呼吸を整えて戦えないぞ」
「マジかよ・・・・・アスカも呼ぶか・・・」
こうして蒼太は、アスカを呼んで、早速肺活量鍛えが始まった。まずは、青刃家の中にある温室プールで・・・
「ブハッ!きっ、キツい・・・」
「死ぬかと思ったぜ・・・」
二人は、25mの距離を息継ぎなしで泳ぎ続けている。それを10セットだ。25m泳ぎ終わるたびに呼吸はしていいが、厳しいものはキツい。
「はい、次、ひょうたん割り」
「おう!」
「はぁ・・・死ぬかも」
アスカと蒼太は、ひょうたんへ思いっきり息を吹いた。
ピシッ!
アスカと蒼太の吹いているひょうたんにはヒビが入ったが、そこでアスカが吹くのを止めてしまった。
「ぷはっ・・・呼吸困難になるとこだったよ!」
一方蒼太は、顔を真っ赤にしながら吹いているが、ヒビから息が漏れて、ひょうたんにはそれ以上ヒビが入らない。
「ぷはっ・・・ダメだこりゃ。」
「はっはっはっはっは。修行すればなんとかなるだろう。」
蒼爺は笑いながらいい、翼は、ムッ、とした顔で蒼爺を見る。
「お前な・・・人の娘の肺活量なんて鍛えるフリして水着姿でも拝みたいのか?」
「だーれがお前の娘の水着姿みて喜ぶかよ」
「なんだと!?」
「おおやらいでか!?」
「二人ともそんなことやってる暇あったら稽古つけてくれよ!?」
蒼爺と翼が取っ組み合いになるのを止める蒼太。そして呆れるアスカ。
「さて・・・じゃあひょうたん破裂させて見せろ」
「なんでニ周りデカくなんてんだよ!?」
蒼太とアスカがひょうたんを割れるようになるのは、一ヵ月後のお話。
結局ひょうたん割れるようになるんかよ⁉