【鈴花side、『花園』#1】
_______これは、清々しい朝の事だった……
「わぁー、凄いなぁー!」
私は今、とある園芸の雑誌を見ている。
見て楽しむ為で、勿論実践するつもりは無い。
だって場所が無いしね。
でもやっぱり憧れるな〜!
ただの印刷物のはずなのにこんなに綺麗だなんて!
「キーンコーンカーンコーン」
あ、チャイムだ。
そろそろ授業が始まっちゃう!
私はあわてて雑誌を机の引き出しに入れた。
〜〜〜一時間目終了〜〜〜
「やっと授業終わった!続き見よ!」
私は引き出しを開けて雑誌を取りだそうとした_____その時!
「ん、続き!?それより引き出しに何が入ってるんだ!?」
そう、烈君に気づかれちやったんだ。
わ、烈君!
私は慌てて言った。
「れ、烈君!何も入ってないよ!?それに「続き見よ!」なんて私言ってないし!」
「____それ、言ったって言ってるもんだぜ」
うっ…た、確かに…
私が戸惑ってる間にも烈君は続ける。
「で、何が入ってるんだ!?」
もう興奮しちゃってる…
これは教えるしか無いのかな…?
私はため息を付きながらも渋々烈君に雑誌を渡してこう言った。
「これ、園芸の雑誌…」
私が渡したとたんに烈君は雑誌をパラ見。
やっぱり興味無いのかなぁ…
「ふーん、鈴花っぽいな。……もしかして、「実はこんなのやりたかったんだ〜」とか言うんじゃないだろうな」
速攻バレてるよ…
でもここまで来ちゃったら言うしかないよね…
「うん、実はやりたいって思ってたんだ。でも第一こんな大きな花壇を作れる場所が無いし…」
そう、一番の問題は場所なんだよね。
「場所?場所ならあるじゃん、『あそこの空き地』とか」
「『あそこの空き地』…って何処?
空き地なんていっぱいあるからよく分からないよ…しかも何で空き地なの?園芸とかは普通裏庭とかそういう所でするじゃん」
私が今、気になった事を口にした。
「あー、空き地で園芸とかも良いじゃん?空き地が花だらけになるのも悪くないし!」
確かに、空き地がお花畑になるのも悪くはないかも…
「どの空き地かと言うとさ、ほら、あるじゃん。あの草ボーボーで石がいっぱいある所」
え、そこって凄くやばい所じゃん。
「そんな所で大丈夫なの?あそこ、場所は広いけどあんな草が生えてるところじゃ無理だよ…」
何で烈君があんな所を進めたのには何か、何か訳があるんじゃないかと思うんだよね。
「大丈夫だよ、まず草とか石がいっぱいある方がやりがいがあるじゃん?
それに最初は汚かった空き地が自分の力で綺麗になった所を見ると感動するぜ!しかも……」
あぁ、そうか!確かに感動しそうだね!
最後に何か言おうとしてたけど気にしない、気にしない!
…私はすっかりやる気になっていた。
帰りに早速様子見してみよう!
「キーンコーンカーンコーン」
あ、チャイムだ。そろそろ授業が始まっちゃう!
「じゃあね、烈君!教えてくれてありがとう!」