1章《青き槍王クーフーリン》
「…ったく、小娘が……」
ルーンによって作られた炎が、静かに俺を包んでいく。
あの少女のはもうここから脱出出来ただろうと思い、神父を跡形もなく燃やすために炎の出力をあげたからだろう。一面は赤く染まり俺の血だか炎だかもわからなくなっていた。
不思議と痛みはなく、俺の体が失われ座に戻っていく感触だけがわかった。
強者と戦うこともでき、飢えは満たされた。その聖杯の力に抵抗
する意味などどこにもないので抗わずに消えていく。
………?
何処かから、呼ばれた気がした。
強い思いと共に囁かれる英霊召喚の詠唱。
それは、昔俺と共に戦場を歩んだ女の力強い声に似たところがある。
「戻る途中だってのに、どんだけ俺を働かせたいんだか…」
また戦える。
まだ戦える。
その事実があまりに嬉しくて、気付いたら召喚者の元へ意識を集中していた。
完全に俺の意識が途絶えるときにはもう、
俺はその場所に立っていたのだ。
――――――助けを求めるのは少女の前に