「ナミ、あんた来年から東京のゲンさんとこ行ってよね」
「え?」
「私、グランドラインに留学することになったからさ。ほら、母さんのいるところだよ」
てな訳で、東京に来た私。道に迷った私は、公園のベンチでおにぎりを食べる。
「…1人だ」
そう呟くと、更に現実味が湧く。
っにしてもあっつい!!暑い!暑過ぎて意識が朦朧として来た…
けど、このまま意識がなくなったら、倒れて頭打っちゃう…!
でも、私の意識は薄れていった。意識が完璧になくなる前に聞いた声は、とても心地良かった
「おい、大丈夫か?」
「げん…さ、」
「っは!!」
「起きたか…ったく、こんな炎天下の中でロクに水分も取らずにメシばっか食う奴があるか」
「え、誰!?あれ?ゲンさんチじゃない!」
「ヌワァミィー!!!無事だったか!!」
私に抱き付いてくるゲンさんを引っぺがす。
緑の髪の毛に、黒のシャツ、ジーパン。この人が、東京で初めて話した人一号か。
「ねえ、ゲンさん。ここに連れて来てくれたのってゲンさん?」
「私はお前を寝かしただけだ。連れて来たのはあいつだよ」
ゲンさんが指差す方には、さっきの初めて話した人一号だった。
「ありがとう…?」
「別に。お前、名前は?」
「ナミ。ココヤシ村から来たナミよ」
「ふーん。ナミか。よろしくな。」
「ねえ、なんでここに行きたいって分かったの?」
「お前が倒れる前に、ゲンさんって言ったから」
「この男はウチの常連でな。よく飲む仲なんだよ」
ゲンさんの家はオシャレなカフェ。だけど、お酒もあるしおつまみもある、コンビニみたいなものだ。
「へえ…」
「ま、これからよろしくな、ナミ」
「え、ああ、うん、よろしく」
常連さんといっても、そんなに会わないと思ってた。
でも、都会というのは広く見えて狭いものだ。