『誕生日は知っている』#1
私の名前は立花彩。
11月3日、文化の日。
これは私の誕生日です。
それであり、浜田の文化祭。
探偵チームKZのメンバーも来るの。
翼と忍は、浜田だから来ないけど。
「彩、彩っ!」
隣で私を呼ぶ声。
この子は、沼屋七瀬ちゃん。
転校してきて、学校で一緒にいる唯一の友達です。
「七瀬ちゃん、席座って!」
薫先生が見えて、声を上げる。
あわてて七瀬ちゃんは席につく。
七瀬ちゃんを見ると、親指を突き上げている。
ホッ。
七瀬ちゃんは、落ち着きがない子。
テンションはいつも高く、落ち込んだのを見たことがないくらいだ。
「ちょっと、沼屋さん?」
「すみませんっ!ちょっと彩が気になって〜。」
何でここで私の名前をっ!
七瀬ちゃんは、舌をペロッと出す。
も〜う。
いっつもこうなんだから。
* * *
「彩ごめぇん!だけど、七瀬が呼んでも振り向いてくれなかったのと、おあいこね。」
子供っぽい無邪気な七瀬ちゃんは、おあいこが大好き。
私は悪いことしたつもりじゃなくても、おあいこって。
まあ、楽しいからいいけど。