『誕生日は知っている』#2
放課後、明日のテストの祈願で、一番近くの神社へ七瀬ちゃんと向かった。
お守りも買うんだ!
「そう言えば、最近彩誕生日だよね。七瀬は誕生日まだ〜。」
考えたことなかったけど、七瀬の誕生日っていつだろ。
私の心を読み取り、七瀬はにっこり笑いながら言った。
「3月3日。女の子の日だよ。」
「いいな〜。可愛い日で。」
「何?可愛い日って。」
だって、女の子の日って可愛いじゃん。文化の日より、ずっとずっと。
私は羨ましいけどな〜。
「七瀬は、彩の誕生日の方が羨ましいけど。文化の日ってカッコいいし。文化祭だしね!」
文化祭っていうのは、まあいいけど。
だけど、誕生日にお雛様。
それからケーキ。
誕生日ケーキもあるか…。
「七瀬ケーキ好きだから、誕生日、クリスマス、ハロウィン、イースターとかはケーキ食べてるの。だけど、雛祭りのケーキが誕生日ケーキと被るからひとつ減るの!」
あっ、そういうこと。
っていうか七瀬、ハロウィンにイースターもケーキ食べるの!?
文化の日もハロウィンに近いし、ひとつ減ると思うけど。
「彩、どこ行くの?神社着いたよ。」
気付けば、もう神社に着いていた。
七瀬は、もうお賽銭のお金まで取り出している。
「七瀬は5円。ご縁だからね。」
じゃあ、私も5円にしよっと。
私は、財布の中から5円玉を出した。