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「ねえ、心愛の恋は叶わないのかな」
……ああ、やっぱり。
「花日ちゃんに高尾くんは取られちゃうのかな」
ぽつりと話し始める心愛に相槌を打ちながら話を聞く。
そして、最後まで聞いて、私は言った。
「心愛は、本当に高尾が好きなの?見た目じゃなくて内面」
そう言うと心愛は黙ってしまった。
そして、私は続ける。
「例えばさ、エイコーの性格が高尾だとする。それでも好きになれる?」
「それは」
「だよね。多分、心愛はイケメンが好きだと思う。それはいいんだよ」
「……うん」
そして、私はなるべく柔らかく言う。
「でも、私経験上そういうカップル、すぐ別れると思う」
「なっ……!」
「なんとなくだけどね〜。それでもいいの?」
そう言うと、心愛はまた黙ってしまった。
「友達に彼氏持ちがいる私が言うのも何だけどさ……」
「12歳で恋人は分かる。早すぎるけどでも、キスは分からない。気持ち悪い」
「……え?」
自分の言葉が段々刺々しくなっているのが分かるがそんなことは気にせず、私は続ける。
「12歳なんて子供でもない大人でもない〜とか言ってるけど立派な子供。ランドセル背負ってるうちはね。人生後70年近くあるんだよ。恋人くらいゆっくり考えればいいと思う。そうじゃない?」
「……うん」
そしてしばらくの沈黙。
しかし、心愛はそれをすぐ打ち破った。
「星ちゃん……ありがとね!心愛、まだ高尾くんの事が好きだけど、考えてみる!」
そして、とびきりの笑顔で言った。
「……うん。そうしてみるといいよ。私こそ辛辣でごめんね」
「ううん。心愛、自分の事ばっかり考えてたから……」
やっぱり、心愛は普通にいい子だ。
「ねえ、星ちゃん」
「何?」
「友達になろうよ!連絡先交換しない!?」
「だ、大丈夫だから落ち着いて……はい、QRコード。LINE交換しよ」
「うん!ありがとう!」
……まさかここまで仲良くなるとは思わなかったな。
「じゃあね、星ちゃん!今日はありがとう!」
「ん。じゃあね〜。私も楽しかったからいいよ」
そして公園から私達は別れて帰った。
……これで一旦落ち着いた、かな。
心愛と花日、仲良くなるといいけど。