【正味】ジャンル様々【短編やで】

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3:マメツキ◆p.:2017/11/19(日) 02:11 ID:asM



〜緑谷の場合〜



「はじめまして、俺冷原、よろしくな」
「ええ!? あ、よ、よろしく冷原くん! 僕は緑谷出久!」
「緑谷か、よーし覚えた」



 僕の前の席の紫の髪の男の子、冷原くんがぐるりと体の向きを回転させて、へらっと笑いながらそういってくれた時は心底驚いた。多分クラス一整った容姿の彼は席についてから終始鋭い目で見た感じのイメージはちょっと不機嫌そうな感じだったから。あとで問い掛けてみると『え? マジで?』とぺたぺた手で驚いたように触っていたから別にそう見えるだけで機嫌が悪かった訳じゃないらしい。
 見た目と違って温厚かつ穏やかな性格で、人当たりも良いらしい彼はすぐにクラスのみんなと打ち解けていた。主に男子と。女子とも喋るけど、あんまりって感じだった。いきなり声を掛けられると数回びくついていたから苦手なのかな。
 とりあえず、優しい人だなあとか思っていた訳である。USJの戦いを見るまでは。
 相澤先生はボロボロで、僕らは水場で、やって来たオールマイトを見ていた。そしてオールマイトの体が黒霧に飲み込まれて千切られようとしたとき、脳無の腕がパキリと凍る。パッとそちらを見ると轟くんだった。他にも切島くん、かっちゃんと続いてきた。



『ド底辺が群がっていきがってんじゃねえゴミどもがよ!』



 轟くんと同じ方向から姿を表し、から鞭を飛ばしてきた冷原くんは普段ならあり得ない言葉を怒鳴りながらやって来た。表情が笑顔かつ凶悪だがそれでもイケメンとはいったいぜんたい。
 はぁーっはっはぁ! と高笑いしながら飛んできた冷原くんは心底楽しそうに鞭を振るっていた。

**
〜轟の場合〜

 俺たちが黒い霧に捕まって転送された場所はUSJ内のとある一角。そこでは大勢の敵が蔓延り、にやにやと笑っている。



「おっ、マジのガキじゃねえか!」
「楽そうだな、とっととやっちまおうぜ」
「お? 紫の方はとんでもねえイケメンじゃねえか」
「いいねえ、確か生徒は好きにしていいんだろ?」
「当たりだなこりゃ!」
「うわお前らそっちの趣味かよ!」
「ほら紫のガキ、こっちこいよ」



 下品な羅列に一斉に氷漬けにしてやろうと足を踏み出したが、それより早く一歩を出したやつがいた。
 前に出たのは隣で一緒に転送されていた冷原だった。多分紫のガキは冷原のことだろう。雰囲気がまるで違う。凍てつく瞳に冷笑を浮かべて、短い鞭をぱしりぱしりと手のひらで踊らせている。



「ほお、マジで来てくれんの?」
「うぇーい」



 その時だった。



『黙って聞いてりゃ散々言ってくれやがって……誰の権限あって、この俺様に……命令してくれてんだ愚民共がよ!』



は?
 そんな言葉を発する前に『平伏せ淘汰されるばかりの家畜共が!』と両腕を広げて叫んだ冷原の声に反応するように敵が地面へとみしみし這いつくばる。
 かくいう俺も突然の冷原の豹変に驚きを隠せないんだが。



『無様に平伏し跪け!! 俺を誰だと思ってる! 天井天下唯我独尊! 傍若無人の『本能』様だぜ!?
わかんねぇなら足りねぇ脳を働かせろ! それでも無理なら何も言わずにこの俺様を崇め敬い奉れよ!
ここでは俺がルールだ、誰彼構わず俺に従え愚民共! さっきの非礼を謝るなら今のうちだぜ!? 泣きっ面晒して犬みたいに許しを請えよ! マジで許しを請うてみろ! 泣いて謝ったって許さしてやらねえよバーカ! 無い脳みそで普通に考えてみろ社会不適合の群衆が!』



 はーっはっはっは! と涙目な敵の一人を踏みつけながら高笑いするコイツはいったいぜんたいどうなってるんだ。


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