>>150の続き
孤爪の前に月島が立ちふさがる。バタッと目が合ったが、すぐに孤爪が目をそらす。
研(こいつ…賢い奴だ…冷静に見てよく考えるタイプの奴。翔陽とは真逆の奴…)
烏野が打ったサーブを山本がレシーブで孤爪の所へ持って行く。
滝「しっかし音駒は相変わらずレシーブのレベル高ぇな…」
嶋「うん…セッターがほとんど動かずに済んでる…トスを上げる前の動き(モーション)が少ないから、
トスがどこに上がるのか、ギリギリまでわかんねえ」
研(誰に上げようかな…)
月「! ……」
月(ライトか)
チラッと孤爪が視線を向けたのは、2番(海)。それに気付いた月島は、ライトへ動く
研「レフトだよ」
月「!!」
しかし月島の読みは外れ、月島が動いたライトとは逆のレフトへとトスは打たれた
研(やっぱりよく見てた。反応も速い…)
スパイクを打たれてこちらに来た球を田中がレシーブで上げようとするが、弾き飛ばされ球は床に転がった。
月島が少し警戒気味に孤爪の背中を睨む。
影(今の…“視線”……フェイント…!!)
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武「……、目立たない…ですね」
烏「? あン?」
武「うちの影山さんは、女子だからというのもあるんでしょうが素人が見てても「なんか凄い」感じがビシビシ伝わってくる…
けど音駒のセッター君は、何か凄いことやってるのかもしれないけど、見ててもよくわからない…」
烏「それは音駒のあの安定したレシーブのせいだ。
多彩な攻撃を仕掛ける為に何より重要なのは、セッターの頭上にキレイに返ってくるあのレシーブだからな。
あのレシーブがあるから、向こうのセッターは本領を発揮できてるんじゃないか
うちはちょっとくらいレシーブ乱れても、あの影山が力づくでカバーしちまうけど…
セッターである影山が、圧倒的才能でデコボコのチームを繋ぐのが烏野なら
セッターである孤爪を、全員のレシーブ力で支えるのが音駒…」
俺達は血液だ
滞りなく流れろ
酸素を回せ
“脳”が
正常に働くために。
孤爪のトスを黒尾が力強く打つ。その球はレシーブが追い付かず、床へ打ち付けられた。
烏野 18 1 音駒 18
山「追いつかれた…!ずっとリードしてたのに…」
滝「攻撃力は突出してなくても、総合力は音駒が上ってかんじか…
あとはーー」
日向が打ったスパイクに、犬岡の手が当たった。
犬「ワンタッチ!!」
「ナイスカバー夜久さん!」
滝「烏野のちんちくりんが中心になって叩き出してた得点が、減ってきてる気がする」
嶋「相手のブロックに触られるようになってきてたからな…トス減らしてんのかもな…」
猫「…超人みたいかエースが居なくても、
丁寧に
1点1点を積み重ねて行けばーー…」
烏野 22 1 音駒 24
音駒高校 セットポイント
日「影山!
次こそバシッと決めるから、トスくれ…!」
影「今相手のセットポイントだ。ミスったらこのセット落とすぞ」
影山の言葉に、日向がぐっ…と押し黙る。
日「わかってる!!決める!!」
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『最初クリアできそうにないゲームでも』
「西谷!」
「ナイスレシーブ!!」
西谷のレシーブ、影山のトス、日向が走り出す
『“慣れる”んだよ』
日向が打つ前に、もう、犬岡の手はそこにあった
日、影「!!!」
日向が打ったスパイクは犬岡の手に当たり、こちらに返された。
ーー第1セット終了
犬「やっと捕まえた!!!」
25(音駒)ー22(烏野)