「あのさ、私がいた牢屋でのことなんだけど、本当に
暗かったよ。」
これを憶いだすと胸が苦しくなる。
そして、エンマの顔が曇る。
「暗いっていうのは、明るさじゃないよ。光は入っていたけれど、本当のところ、
看守にいじめられてたんだよね。
しかも、他の人からは悪口言われてね、ひどい時は血だらけになったよ。」
私は涙が出そうなのを抑えながらエンマの顔を覗くと
私の感情が移ったんじゃないかというほど、苦しい顔をしていた。
「いいよね。エンマは。たくさん撫でてもらって、美味しいご飯を食べてて、たくさん抱かれて、私なんて
捨てられた雑巾みたいだもん、苦しくても誰も聞いてくれる人なんていない。第1、私の両親にも捨てられたからね。」
私は自分の感情が抑えられなくなるのが怖くて、そこで話をやめた。その時、
エンマは私の体を包むように抱きしめてくれた、
ああ、あの幸せがよみがえる、
エンマが口を開き、
「大好き、ずっと……あ、」
さっきの哀しさの何倍も感情が込み上げて来て、
もう私はこれだけで幸せの絶頂、だけとまだ何かあるようだ。何か、ためらっているようだ。