その帰り道、オレはフラフラと探偵事務所に来ていた。
ただ、何となく。
「あ―久しぶりだね、コナン君。元気にしてた?」
久しぶりに会った蘭は、前よりも美人になっていた。
「蘭…」
蘭の顔を見ていられなくなって反らした視線の先には、「毛利小五郎」「英理」「蘭」「江戸川コナン」という文字。
「蘭、これって…」
つい、蘭に聞くとえへへと笑い、「あ、これ?お母さんが戻って来てくれて、表札作り変えたんだ。…でも、コナン君の名前外せなくて…もう、一緒に住んでないのにね」
そう答えた。蘭の切ない表情に、胸が締めつけられた。
「ねぇ、コナン君。私、結婚する事にしたの…。本当は、ずっと新一、待ってたかったけど…もう居ないし」
悲しそうに言う蘭に、かける言葉なんて見つけられなかった。
「ねぇ、誰と結婚するの?」
今、一番蘭に聞きたい事。
「新出先生よ。プロポーズしてくれたの!ねぇ、コナン君。結婚式来てよね。コナン君にも祝福して貰いたくて」
そう言う蘭に、嫉妬してしまう。祝福なんて出来る訳ない。蘭の隣に居るのは、オレの筈だったのに。
―やっぱオレ、蘭が好きだったんだな。
「ゴメン、蘭。祝福なんて出来ねぇよ…だって…だってオレが新一だから」