「ふぅ〜」
大きく深呼吸。
大丈夫。私は大丈夫。
「心、早くいこ。お母さん職員室行ったし」
「あ、そうだね」
転校初日、弟の日向と一緒に校長室へ。
「じゃ、行こっか...」
「心、注目凄い。心がずっとここにいるから」
「...」
緊張で靴箱の前でじっとしてたから注目が...
「なんか、見たことない子」「え、転校生?」
「失礼します...」
「しつれーします」
あぁ、やっぱりダメだ。
声が小さい。
日向みたいに大きな声が出せない。
「あっ、転校生かな?どうも校長です」
「あ、はぁ」
「はは。そんなに緊張しなくて良いよ」
いや緊張するに決まってんだろ...
流れるようにパイプ椅子へ座った。
「名前は...笹岡心さんでいいかな?」
「あ、はい。大丈夫です」
「弟くんは...笹岡日向さん?」
「はいそうです」
新学期、新小6の私と新小4の弟。
家庭の事情で東京から引っ越して来た。
長崎県に引っ越しって聞いたから
方言とか大丈夫かなぁって思ってる。
いや、その前に友達できるかな...
「じゃあお2人さん、今から全校朝会だから
自己紹介してもらうけどよろしくね」
うわっ!出た!
「はい...」
「はぁい!」
私は残ってる力を振り絞り
元気のない返事をした。