特に嫌な過去があったわけでも、男になりたかった訳でもない。
唐突に自分が嫌いになり、それを直そうと躍起になる。
それは、人間としては至って普通のことだった。
こんなところに応募するんだから、きっと皆ナルシストだと思う。
否、自分を愛することの出来る人だ。
僕はそんな人が羨ましかった。そうなりたかった。人に認めてもらえることで自らを愛せると思っていた。
だから、自分を嫌いになってそこを必死に直すなんてことはなくなるとも信じていた。
それが正しいのかは分からない。けど、その応募が人生を変えたのは確かだった。