そこへクリストフが歩み出る。
驚くアナや国民を気にせず彼は咳払いを一つすると、
話し始めた。
「…えー、アナ女王は最初の女王としての務めを行った。
立派な判断で国を救ったのだ。アナ女王に、拍手を!」
クリストフの言葉に、拍手が沸き起こる。
歓声まで上がったのには、彼も驚いた。
アナは恥ずかしがりながら手を振り、
「どうも〜…」と小さく呟いた。
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ーーこうして、ひと悶着あったものの何とか無事に
戴冠式を終えることが出来た。
いつものジャンパースカートと緩いみつあみ姿に戻り、
アナはクリストフと共に、自室でアイスココアを飲んでいた。
「ふぅ!疲れたわ……けど、無事に終わって良かった!」
アナは大きく伸びをした。
「お疲れ、アナ」
クリストフはアナの肩をポンと叩く。
「姉さん…エルサのことだけどね」
アナは切り出した。
「悪い人には見えなかった。でも善人でもないの。
掴みどころのない人よ。
ーー11年前はそうじゃなかったのに……」
アナの言葉に、クリストフはどう返して良いか分からず
口をつぐむ。何か言葉を発する代わりに、アイスココアを
飲み干した。
「それにね、何処か寂しそうだったの。
あたし、姉さんを救いたい。皆で城に住みたい。
姉さんは生きてた!まるで叶わない話って訳じゃない筈よ」
アナは強い意思を宿した瞳で、そう言った。