「何寝ぼけたこと言ってるの?自分で取ってくりゃいじゃん。アイダーさん」
『アイダー』冒険者から『怠け者』のレッテルを貼られた称号である。
くすくすと笑い声が、野次馬の中からが聞こえてくる。
「てっめぇ覚悟はできてるんだろうな」
男の顔がみるみるうちに真っ赤になる。
すでに鞘から剣を抜いてるし……
やっぱ怒ったか……ほんとのこといったんだけどなぁ……
「あんた達いい加減にしなよ」
割って入ってきたのが一人のタルタルだ。
好奇心旺盛な小人タルタル。大人でも私たちの腰あたりの背丈で愛くるしい顔立ちである。
ちょっと今出てこないでよ……まずいよタルタルちゃん……
「うるさいっ!てめーは引っ込んでろ!」
アイダーは左手の盾でタルタルを城門の壁に吹っ飛ばしてしまった。
タルタルは、打ち所が悪かったのか左足をおさえて悲痛な叫びを上げている。
続いてアイダーの放った太刀が私に飛んでくるが、しかし太刀が私の目の前で止まる。
「っくそってめぇ赤魔道師か」