ひとりか。
やけにうるさい秒針の音が耳に入って、そんなことを思い出した。
異常なくらいに喉が乾いている。いや、実際体は異常な状態なのである。
「はぁ.....一回熱はかるか.....」
.....まぁ、つまり。風邪を引いた。
「このワールドワイドハンサムの僕が.....」
なんとなく呟いた言葉は、誰もいない、一人っきりの部屋に空しく響いた。
しかし、まぁ軽口を叩けるくらいには元気らしい。
自身の健康を適当に確認して、ゆっくり起き上がった。
心臓の鼓動に合わせて、ズキズキと痛む頭を押さえる。
「.....みんなは...?」
掠れた声だった。少しだけ寂しそうな自分の声。
一瞬、僕の声だと分からなくって、思わず自嘲気味の笑みを浮かべる。
「っ.....」
頭が急に軋むように痛んで、小さく息を吐いた。
思わず眉間にシワが寄る。
マジでシワになっちゃ困る....。なんて心底思って、眉間のシワをぐにぐにと押し伸ばしていると、唐突に
ドアが開いた。
むせるように熱い空気が流れ込んでくる。
驚いた。てっきり僕一人かと思ってたのに。
顔をあげて、ドアの方へ目をやると、そこに立っていたのはテヒョンだった。
外は暑いのだろう。彼の首筋を一筋、汗が伝った。
なんか色っぽい.....って思ったら、何か負けたような気がしてきた。だから、平然を装って僕は言った。
「いたんだ」
我ながら素っ気ない。でもちょっと、嬉しそうな声だ。....分かりやすいなぁ僕。
テヒョンは、僕が起き上がっているのを見て、ツカツカと急ぎ足でこちらへ向かってくる。
そして、僕の目の前でピタリと止まった。
彼の髪がふわりと揺れる。
相変わらず整った顔だ。天使か何かに見えて、もしかして僕は死んだのかと。
冗談を心の中で呟き、「いやこいつは悪魔の方が似合うか」なんて思って、自分で吹き出しそうになる。いや、実際ちょっとだけ吹き出した。ごめんな、突然笑ったりして。
声には出さないで、心の中から彼にそう語りかけた。
>>164 テンポ悪いな
>>164 序盤
あった >>164