「お、お前誰や。勝手に人の家上がっていいと思っとんか」
俺の勇気もむなしく、眩しい男は信じられない、と言いたいかのように目を見開いてこちらを見ている。向こうが何も言葉を返してこないとわかると、俺は反撃を続けた。
「不法侵入やで、どれだけ飢えてるか知らんけど捕まるで」
知っている限りの難しそうな言葉を並べてみても眩しい男は全く怯まず、むしろ余裕綽々と言わんばかりに笑顔で手招きをした。
「まあええから、とりあえずこっちおいで」
手招きされる。少し不満と恐怖を覚えながらも奴に近付き、机を介して奴と向き合った。
「で、お前は何者なんや」
「何者って何やねん」
質問をのらりくらりとかわし、当然のように座っている眩しい男にさらに腹が立つ。
「勝手に上がってきて何やその態度は」
ようやく俺の怒りを感じとった男は、驚いた顔をしながら命乞いをするかのように両手をこちらに向けひらひらと振った。