一つ思ったこと。夜を生きる人間ってのは大抵病んでいる。
スナックのママしかり、バーテンしかり。水商売な。
そういう人達の過去の話とか今の話とか色々聞くんだけどさ。
比喩じゃ無く、胸が、心臓が重くなる。その人達の秘密や想いや苦しさを
共有するたびに心臓が重くなっていく。
はき出せないものが、綺麗なものも醜いものもどんどん蓄積していって
どんどん世間擦れもしていく。
俺は、相手に起きた過去の悲劇やそういうことに対してなにもできない。
出来るのはそれを受け止めて慰めたり聞いたり添ったりすることだけだ。
ただ、それすら重いことに最近気づいた。
なにもできないことも負担になるんだなと。
そしてこれを抱え込むたびに病み直し冷め直していく。俺がそもそも強い人間ではないから。
だから、知り合いのママさんが言ってた意味がようやく分かった。
人の話を、悩みを聞き続けるのはとんでもないことだと。
これは聞いちゃいけないと判断できたら速攻で逸らすこともあると。
俺は逸らすのは客商売として良いのかと疑問に思っていたけど。
これは無理だ。逸らさなきゃ自分が壊れる。
あらゆる死を、不遇を、経緯を、痛みを、苦しみを。
刺青の巫女が来い、だ。人身御供だ。
>夜を生きる人間ってのは大抵病んでいる。
‥と言うか、それまでの人生で何か欠落してしまったものを必死で補いながら生きている‥みたいな感じがするね、オレ的には。