ナイスの強制収容所での体験を元に書かれた、フランクル作の「夜と霧」を読み終わった。受験期から読みたかった待望の著作のひとつである。
精神科医の立場から、収容所内での過酷な環境に置かれた自身や他者の心の変化を、実際のエピソードを混じえながらつぶさに分析している本書は、学術的な価値はもちろんのこと、読み物としても興味深かった。
わたしが買ったのは第二版らしく翻訳の善し悪しはわからないものの、いかにも翻訳らしい言い回しを含めてそんなに苦労なくすらすら読めた。いい本だった。
そして正確には「体験を元に」というより、「体験によって元々あった持論を補強した、」いうくらいが正しいかもしれない。一度は没収されたものの、元々発表する論文は完成していたわけだから。