続くか分かんないけど、とにかく!

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1:ヒヨドリ:2013/03/17(日) 10:54 ID:QdU

ヒヨドリです。名前聞いたことある人いるかも♪
もう、思いつきに等しいので、ガチで続くか分かりません(汗)
 けど、頑張ります!   ついでに、こんなアホ作も書いております。
http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1359101437/l50
YES、掛け持ち。。。

アドバイス&感想大歓迎! こちらに書いていただきたい↓
http://ha10.net/test/read.cgi/frt/1363484558/l50
書き込んでくださった人がいたら、もう飛び跳ね土下座して喜ぶ。

正直恋愛入れたくない。・・・・・というか、恋愛モノ無理!   ・・・・だけどその恋愛を入れてみて小説書きたいなぁ
応援よろしくです。あと、ダラダラ失礼!

2:ヒヨドリ:2013/03/17(日) 15:19 ID:QdU

              
            prologue

本当に思いもしなかった。 まさかこんな事になるなんて・・・・・・。
私に向けられる鉄砲。顔がよく見えない男性。

呼吸をするのも気まずいくらい位の静けさと、相手から『声を出すな』というオーラと圧力。
壁に背中をべったりと付けて、相手の顔を見上げる。

・・・・・・・・・・もう、逃げられないんだ・・・・。
ごくりと生唾を飲む。 相手の顔も、輪郭も全くと言っていいほど分からない。
殺される
そう確信した。

3:ヒヨドリ:2013/03/17(日) 16:10 ID:QdU



第一章 〜3日間の恋〜

私はいたって普通の女の子。
「えっと、百合嵩 優香(yuritaka yuuka)。好きな教科は・・・・理科で、絵を描くのが好きです。これから1年
 よろしくお、お願いします。」

ささやかな春。 進級して新しいクラスになった私は、少しの緊張と不安が混ざり合ってうまく話せなかった。

窓から差し込む日光が眩しくて、左の肩が余計にポカポカする。
6−1と書かれた教科書。そこに日光が当たってなおさら眩しい。

自己紹介が終わったら、すぐさま席につく。 あんまり目立つことは好きじゃないから。
6年生になったのだから、受験勉強も忙しくなるし、低学年の面倒を見るのも大変そうだ。

みんなの自己紹介聞いてたけど、別にこれといっていいのは無かったし、印象に残るのも無かった。
いたって平凡な日々。 別に飽きたってほどじゃなんだけど。

一通り自己紹介が終わったところで、担任の翔子先生(syouko sennsei)が、音を立てて手を叩いた。
「さっ、自己紹介も終わったところで、せっかくなので遊びましょうか! みんな、仲良くやってねー?」

陽気というのか、なんというのか・・・・。とても元気な先生だった。
今年初めてこの、青春小学校(あおばるしょうがっこう)にやってきた先生で、今年初めて教師として採用されたらしい。
髪の毛が短めで、先の方が少しカールしている。笑うと子供みたいで、確かに可愛い。

「グラウンドに出て・・・・・・ドッチボールでもしましょうか!」
クラスから喜びの声が聞こえる。 よっしゃーだの、早く行こーだの、喧しい。



グラウンドに出た瞬間、頬に生暖かい風が当たった。
「暑・・・・・・」
クラス替えがあってから、友達に話しかけてもいない私。むろん、一緒にグラウンドに来てくれる友達なんか
居なかった。 まぁ、一人は一人なりに楽しいのだけど。

4:ヒヨドリ:2013/03/17(日) 16:39 ID:QdU


ドッチボールははっきり言って苦手だ。

ボールが来たら、わざわざ避けなくてはならないし、ボールを取ったら投げなければいけない。
こんな不愉快な遊びを、授業中にやるなんてどんだけ不運なんだとがっかりする。

こんなのやったって、友達なんか簡単に出来る訳ないのに――
「優香ちゃん! 一緒のチームにしない?!」
いきなりそう話しかけてきたのは、クラスで一番人気者の美空(misora)ちゃん。

ショートカットの髪の毛が、サラリと動く。 私を見つめる瞳はとても綺麗で、見惚れてしまうのを、彼女は
知っているのだろうか。

「うん・・・・・・。美空ちゃんってボール運動得意だったよね?すごく嬉しい。」
私は自然と笑顔になれた。 そんな私を見て、美空ちゃんは幼い子供みたいに笑った。

「美空でいいよ?あ、私も優香って呼ぼうかな。」
こんなに簡単に友達が出来ていいのかと思うほど、あっけなく友達が出来たのだ。
新しいクラスになって1日だぞ?

私は・・・・とっても運が良いかもしれないと思えた。
「分かった。慣れてきたらそうするね。というか、誘ってくれてありがとう。ドッチではタテにさせてもらうよ。」
私が冗談気に言うと、疑いも無い透き通った美しい目で笑ってくる。

でもね、美空ちゃん。私ドッチ、まじで嫌い。

ボールがビュンビュン飛び交うの見てると、恐怖でおなか痛くなりそう。
ボール運動自体が、そんなに好きじゃないからだ。
そんな私とは反対に、美空ちゃんはボール運動全般は大好きらしい。

「ピーーー! じゃあ始めるわねー?戦闘開始!」

その掛け声と共に、ボールが上へあげられる。つまりジャンプボール。
美空ちゃんは、容赦なくボールを叩き付けた!

かっこいい。

それは、美空ちゃんと会った時の第一印象でもあった。
そういえば・・・・・・1年生の時、転んでしまった私を、苦も無く持ち上げてくれたのも、美空ちゃんだった。

そんなどうでも良い事を考えているうちに、私に向かってボールが飛んできた!
それをかばうようにして、一人の男子がボールを取って、こちらを振り返り、ニカッと笑う。

・・・・・・それはそれでいいんだけどさぁ。
あなたの名前なんだっけ?

第一関門突破出来ていない私。  あぁ、これからどうしろっていうの?!

・・・・・・まずは、友達の名前を覚えよう。なんていったって、私の学年だけで260人、クラスだけで
40人居るんだから。

5:ヒヨドリ:2013/03/24(日) 20:41 ID:QdU

さんざんさぼりまくってこのザマだ。
はい。今から書きます。 &あげ!

6:ヒヨドリ:2013/03/24(日) 20:47 ID:QdU



神様は…………本当に酷いと思う。
私を、こんな目に合わせて、何が楽しいの? 私は――――

「待って……っ死なないで――」

。。。これは、ちょっと苦い恋物語。。。

7:ヒヨドリ:2013/03/24(日) 23:49 ID:QdU

意味分かんないと思うけど、理解できるまで気長に待ってね!!



私の恋は、始業式の2日後。つまりあのドッチボールをした次の日からだ。

学校に、鉄砲を持った集団が入ってくるなんて誰が予想した?


朝、普通に起きて普通に登校したつもりだった。
集団登校だから、低学年を率いて学校まで普通に歩いてきたはずだった。

玄関に入ると、学校がとても静かに感じた。 確かに靴はあるのに、みんな何処に行ったのかな?
そう思って、階段を駆け上がった。

当然、私の口に黒い物が被さった!
「っ!!」
声が出ない!

がっしりと腕を摑まれ、身動きの取れない状態だ。 いきなりすぎて、思考が停止してしまっている。
なんなの!? ドッキリでもやってるの?

だけど、そんな考えは甘かった。
もう既に、黒い服をきた集団に囲まれていたのだ。そして、登校班で一緒の低学年の子供達も…………

「やめてっ、その子達には手を出さないで!」
私は、必死に抵抗したけど、がっしりと摑まれた腕はびくともしない。
「ー……っつ! 放してっ!」

私は、足をバタバタ動かした。 動かすと、誰かの足に当たった。
「痛って! …………このやろっ!」

どうしよう。 ボス的存在の人のすねを、思いっきり蹴っちゃった……
こ、殺される……!?

「奏太(kanata)こいつどっかにつれてけ。」

「…………」
「つれてけって言ってんだろ!!」

ボス男が、端にいた若い男に向かって何かを投げた。

男の頬からは、血が出ている。
「……わかった」

男が私の体を持ち上げる。 嘘、こんな軽々しく……! この人何者!?
「は、放してっ!!」

8:麗愛:2013/03/25(月) 06:52 ID:RNw

うぬ、ぶっ飛んだ話だねぇ……
私、こーいうの大好き♪

普通の話じゃなくてぶっ飛んだやつ好き。

9:ヒヨドリ:2013/03/25(月) 07:46 ID:QdU

>>8 運命…………! また見てねっ!
感想や、アドバイスよろしくね!! http://ha10.net/test/read.cgi/frt/1363484558/l50
よし、頑張るぞっ!!

10:ヒヨドリ:2013/03/25(月) 17:31 ID:QdU


どんなに叩いても、蹴っぽっても男は軽々と階段を登る。 私そんなに軽くないのに…………
奏太たっつったけ?この男。
「ちょっ、あの子達になにかしたら許さないんだからっ!!」

口調が少し震えている気がする。 

「お前…………黙ってないと、殺されるぞ。」
男が始めて口を開いた。 男はサングラスをかけていて、目は見えなかった。

「なに……?どうせ殺すつもりなんでしょ!?」

男が、大きく溜め息をついた。

「ま、それは後からのお楽しみってことで。」
「ふっ……、絶対逃げ切ってみせるんだから。っていうかもうじき警察が来て、あんた達も捕まるわ。」
その時、男が声を張り上げ笑った。

「悪いがな、警察なんかに俺らを捕まえることはできない。」
「……は?どういうことよ。」
「この学校の人数は1300くらい居るだろ?だがな、鉄砲は200丁、人数は150のこっちを相手にするのは
 やっぱし、しんどいかもな。」

う……嘘、そんなに居るの?

もう声が出なかった。ここで声を出しただけで、殺されそうだったから。
でも、後で射殺されるくらいなら――――っ!

「早く…………殺しなさいよっ。」
そう言ったところで、相談室前まで来た。 男はドアを開き、そこで私を下ろした。

私は足が地面に付いたと同時に、木が剥がれて壊れているイスが目に入る。
人は私しかいないようだ。すごく静かだ。

私は背中をべったり壁につけた。 

呼吸をするのも気まずいくらいの静けさ、男から出ている 声を出すな という圧力とオーラ。
やっぱり、死ぬしかないよね…………

私は、静かに目を閉じた。

11:ヒヨドリ:2013/03/25(月) 17:57 ID:QdU





ガッ!!

いきなり頬に激痛が走ったと同時に、目眩が襲う。
「――――っ!!」
俺の体は、もうすでに地面に叩きつけられていた。 足を摑まれて、もう起き上がれない状態だ。

俺は部活の帰り道に、暴力団に囲まれてしまった。
一緒に、悪いことをしないかと聞かれ、首をふったらこのザマだ。

でも、この暴力団はチンピラやヤクザを含む、強力な集団だ。 囲まれたら最後、もう逃げられないと聞いていた。
警察でも手がつけられない、頭のいいやつがそろっているらしい。

「おーい。お前さあ、筋肉ありそーだし、頭いいって聞いたから誘ったんよお……本当に断っちゃうのお?」

今度は腹を、思いっきり踏まれた。さっきの一撃の所為で、咳き込むことしか出来ない。
口の中に、血の味が広がる。
やっと目眩が引いてきて、声が出せそうになり起き上がろうとした、が暴力団はなかなかしつこかった。

小さな箱のような物を出し、その中身を俺に見せたんだ。
「鉄砲…………!」

一人が鉄砲を持ち、俺の喉に押し付けた。
「……うっ」
俺の体は、また地面にべったりつく形になる。 相手はおそらく脅しているのだろう。

俺が返事をしない所為か、力がどんどん強くなる。
喉のおくが熱くなり、汗が滲んできた。

俺は、出ない声を無理やり出し、か細い声で言った。
「わ……かっ…………た。」

12:ヒヨドリ:2013/03/26(火) 19:06 ID:QdU

>>10 の ×私は足が地面に付いたと同時に、木が剥がれて壊れているイスが目に入る。
      人は私しかいないようだ。すごく静かだ。  は、↓
     
      ○私は足が地面に付いたと同時に、相談室の一番端に行った。
      気が剥がれ、ボロボロになったなんとも無残なイスに、目が行く。
      人は私しかいないようで、すごく静かだ。
です。

13:ヒヨドリ:2013/03/26(火) 22:43 ID:QdU






「目を開けろ」
男の声が聞こえた。 私は静かに目を開ける。
「……何…………?」
「あのなあ、一応最初に言っておくけど…………俺誰も殺す気ないからな。」

え?
「嘘……そうやって油断させて殺す気なんでしょ、みんなを傷つけるつもりなんでしょ!?」

私はさっきより強く相手を睨みつけた。 黙っていれば整って見える顔立ちなのに……………………あ………!

男は大きく溜め息をついた。
「あーっ、なんて言ったら信じてくれるかな――――」
「頬、血出てる。固まる前に、これ貼って。」

私は、ポケットに入っていたポーチから絆創膏を出し、男に渡した。
なぜこんなに私の心情が変わったのか。 それは昨日のドッチボールを思い出したからだ。
せかっく友達ができたのに、こんなとこで終わらせたくないと、心のどこかで思ったのか、死ぬのが怖くなったのか。

正直なところ、自分でも分からない。 気づいたら、男に絆創膏を渡していたのだ。

「なんだ、死ぬのが怖くなったのか?」
男が、とても意地悪気な笑いを浮かべる。
「……そうなのかも。なんかやっぱ死にたくないなって思って、邪魔なヤツと思われて片付けられると悪いから」

男が一瞬微笑んだ気がした。
「最初から殺す気は無いって言ってるだろ。」
「本当か嘘か分からないけど。今だって銃を持ってー……」

ドアの外から声が聞こえた。

「おい奏太!! あの出口はふさいだのか!? あそこの保健室のはしごはー…………」
ガラリと音を立てて、ドアが勢いよく開いた。

「っあ――…………。やばいぞ、聞かれちまった……っ!」
ガタイのいい男が、目を泳がせた。

「奏太、悪いがこいつ殺してくれっ!! 今のは聞かれちゃ困る話なんだ」
なっ、何を言って――っ!

14:ヒヨドリ:2013/03/26(火) 23:05 ID:QdU


奏太という男は眉をよせ、少し笑って目を細めた。
「いや大丈夫、それだけじゃ何言ってるか分かんないから。」
「奏太、逆らっていいとでも思ってるのか? あぁ?!」

ガタイのいい男が叫んだ。 耳にギンギン届く、迷惑な声だ。

「でも、無闇に人を傷つけていいわけないだろ。」
奏太が言い返すが、逆に相手の怒りを買ってしまったらしい。

「奏太……お前ここに来てる自覚がないのかぁ!? お前もグループに入ったんだろ! こんなふざけた真似
 しやがって…………このっ!」

鈍い音が、相談室中に響き渡る。
ガタイのいい男が、奏太の胸の辺りを殴った。 奏太は後ろの机に頭を打ち、地面に倒れこみ咳き込んだ。

「――――あ……!」
今度こそ、本当に殺される。 覚悟したけれど、なぜか悔しさが込み上げてきた。
私は、なおも奏太を蹴り続けようとしているガタイのいい男を押しのけ、奏太をさすった。

「ね、ちょっ。大丈夫!?」
「てめえ、このガキがっ!!!」
男が手を振り上げた途端、銃声が聞こえた。

「え…………?私――」
奏太が、右手に鉄砲を持っている。  奏太が撃ったの――――?
服に赤いシミが着く。 だが不思議と、全く痛くなく、すこしチクリとしただけだ。

でも、痛みの変わりにものすごい眠気が走った。
やば…………っ。

私は目をつぶった。 だんだん意識が遠のいていくのが分かる気がする。
やばい、私死んだ――――――?

15:ヒヨドリ:2013/03/29(金) 15:18 ID:QdU







そりゃあ鉄砲で撃たれたんだから死ぬに決まってるだろう。
私は暗闇の中、目を開けられずただ、じっとしてるしかなかった。

どのくらい経っただろうか。腕にチクリと何かが刺さった感じがする。
それと当時に、自分の意思とは逆に、いきなり目が開いた。

「……え」

目を開けたはいいけれど、さっきと場所は変わらない。 相談室の天井しか見えなかった。
眠気は無くなり、起き上がった。

「奏太…………」
私の横には奏太が居て、黒いケースに何かをしまっていた。
「悪いな、服汚しちまって。やっぱ、水で落ちやすくする事はきねえな。」
「ちょっ、言ってる意味が全く分からないんだけど」

私の服にべったり付いた赤いシミ。…………これは血じゃなくて?
奏太は、黒いケースの中身を私に見せた。

「鉄砲…………」
「残念だがな、これで人を殺す事は出来ない。」

奏太は、鉄砲と一緒に入っている、小さなビンを取り出した。
「この鉄砲は優れものだぜ?障害物に当たった瞬間に、少量の睡眠薬が体に入るようになってるんだ。
 ミクロ単位の針が出てな。そんで、空気に触れると体積が増える特別な液体に色を付けて……」
「ちょっと待って。奏太、私を殺すつもりがなかったってこと?」

奏太は少し微笑んだ。

「何気に、奏太って呼んでるな」
「質問に答えてよ。」
奏太の顔をじっくり見てみる。 目の下にあるあざは、さっき出来たものだろう。

「俺は最初から殺すつもりは無いって言ってるだろ。」
そう言って、私から目を反らす。

「…………ありがとう。だって、あの時かばってくれて…………」

「バカ。お前殺せって言ったり、絆創膏渡したり、何したいかマジでわかんねえ」
そう言って、ドライバーで鉄砲を弄る奏太。
「だって…………思い出しちゃったんだもん。昨日の、楽しかった事…………。たった1日だったんだけど
 やっぱ、楽しかったなって。いままでハブられてたし、やっぱ生きてたいなって…………」

わがままだと思うんだけどね。

「ふーん。なんでそんな時に、この学校狙われたんだろうな。」
でも、奏太だってなんで殺したくないのに、こんなのに参加したの?私には…………全く分からない。

「あ、後さ、さっきお前の体に入れたやつ、睡眠薬の効果消す薬な。全く無害だから、気にしないでくれや。」
「…………うん。」

外を見てみた。 少し暗くなっていて、パトカーの光か、赤く怪しく光る物がある。
私、助かるのかな。
そう思って立ち上がり、窓に鼻を押し付けて覗いてみる。やはりパトカーが無数に止まっている。

16:ヒヨドリ:2013/03/29(金) 15:53 ID:QdU


奏太、貴方は一体何者なの?

「それにしても、すごい発想力ね。鉄砲に仕掛けをするなんて。」
「仲間の鉄砲も…………全部じゃないけど大体はこの球にしたぞ。それに、この球重いから速度だって落ちるし、
 一応安全なんだぞ?」

奏太の方を振り返るけど、やっぱりドライバーをくるくる回して、こっちには見向きもしない。
「1つ聞いていい?」
「ん?」
「奏太はなんで、人を傷つけたりしたくないのに、こんな犯行をあんな暴力団と一緒にしたの?」

奏太が一瞬、表情を歪めた気がした。
深刻で…………大変な理由があるのはわかるけど……それが何か知りたい。

「弱いからな、俺。めっちゃ俺、弱ぇよ…………。 脅されただけで、犯罪に同意するなんてな。」
「奏太…………?」
鉄砲を弄っている手が止まる。

「一緒にしないかって、言われて分かったって言う時点で加害者。同罪だ。どんなに…………怪我をする人を
 減らそうとしたって、結局俺は弱いだけだよな。」


奏太は私に、暴力団に囲まれた事、そして脅され暴行を受けた事を話した。
だれが聞いたって、しょうがない事じゃないか。

奏太は…………悪くないよ。無力でもなんでもない。

そう必死に心で思った。だけど、届かない。
だれも怪我をしないでここを脱出しなくちゃ、無罪にはならない。
ううん。 もうここまでやっちゃってるから、確実に無罪にはならないよね。でも…………

「奏太っ!貴方は――――」
「もういい。黙ってろよ、見つかる。」

そう言った時に、そうかを誰かが通る音が響きわたる。


奏太は、上に来ていた上着を一枚脱いで、私に渡した。「これ着ておけ。」と言って。


私は渡された上着を着ながら、考えていた。
奏太、貴方は悪くないよ。  一緒に、乗り越えられないの?

私はもう……皆の笑顔は…………見れないの? もう、一緒に遊んだり出来ないのかな。
初めて、目から涙が溢れた。止まらなくて、床にポタポタと落ちていく。

無力なのは…………私なんだ。

17:ヒヨドリ:2013/03/31(日) 08:15 ID:QdU

↑ 下から7行目、そうか×  ろうかO

18:ヒヨドリ:2013/04/01(月) 08:46 ID:QdU



 もし私が美空ちゃんみたいに、なんでも出来て強かったらもう少し、役に立てたかもしれない。
そう思うと、自分が情けなさ過ぎて、笑えてくる。

駄目じゃん、おまえ。

心の仲の悪魔が、私に言ってくる。その言葉が、耳にグワングワン響いて頭が痛くなりそう。

無力じゃん、どんだけ弱いんだおまえ、この役立たずが。

分かってる。分かってるよ私が無力なことくらい。
分かりきってたことじゃない。美空ちゃんみたいにはなれないって。

私は視線を上げ、外を見た。

グラウンド………………
昨日、皆と遊んで始めて友達というものを知った所。
クラス替えが良かったのだろう。 陰険じゃなくて、とっても心から優しい人がいっぱい集まったのかな。
もう…………ドッチボールで、私だけを狙われたりしないんだ。
あの地獄の日々のように、嫌がらせとか受けなくていいんだ。

とても安心した。たぶん小学校生活の中で一番安心出来たし、楽しかったって。
せっかくこんなにいい日々を過ごしていたのに、こんなところで…………

「危ない。落ちるぞバカ」

私を持ち上げ、ズルズルと入り口側に引っ張っていく奏太。
気づかずの内に、窓に身を乗り出して、じっとグラウンドを見つめていた。
風邪の所為か、目が乾き、泣いていたという事はバレなさそうだ。


美空ちゃ……………………

あれ? そういえば………………みんなは無事なのかな
もしかして、もう――――――

「ねえ奏太、私以外の生徒は? みんな何処にいるの!?」
暗くなってきている所為か、薄暗くて奏太の表情は分からなかった。
「それぞれの教室に居ると思う。 たぶん殺されてはないな。
 でも、まさか暴力団に囲まれて、あそこまで抵抗するやつは数人程度しか居なかったようだな。」

…………なんか、美空ちゃんならすごく抵抗してそう。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!!

見張ってるやつが悪いやつだったら――――――!

助けたい

それは、どこから生まれた感情なのだろう。
初めて、友達を助けたいと思った。

友達なんか、所詮上辺だけに過ぎないと思い込んでいた小学校低学年から中学年頃。
いつも励ましてくれると思ってても、目の中では私を嘲笑っているという恐怖感。

だけど、それが打ち消されたのはいつなのか。
少しは……………………命をかけて友達を信じていいかと自分に問うてみた。



……………………結果は、自分の中にいる天使の勝ちだった。


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