No.000:プロローグ
__閉鎖空間。
光も差し込まず風も入らない、温度も感じない。
そんな閉鎖された空間に僕は立っていた。
箱の中に閉じ込められているようなそんな感じがした。
呆然とする僕をよそに急に警報音が鳴り、
赤いライトが部屋を染める。
机に何故かあるラジオに電源が入り、音が聞こえた。
「君らには命をかけて、生き延びてもらうよ」
何も感情もこもっていない、性別さえ
判定できない機械音声がとても耳に残る。
僕は、この言葉の意味が分からなかった。
____あの時までは。
>>12:またいらしてくださったんですね。
有難うございます。
テスト期間で小説の内容が上手く構成できずに
更新が遅くなりました。
これからもよろしくお願いします。
No.003:覚醒者
____ミッションを開始します。
その言葉を聞いて皆はどんな心境だっただろうか。
焦りか、恐怖か、はたまた両方か。
あるいは無心か。
「鬼ごっこをして下さい。僕の手下が鬼ですよ」
その二言しか放送は入らなかった。放送のあとに
カチカチと針の進む音ともにカウントダウンが始まる。
幼い時にやるあんな可愛いゲームじゃない。
大群の蜂に追われているような、そんな感覚だった。
ホールの吹き抜け部分へと繋がる階段を駆け上る。
そして廊下へと一気に走り、どこへ着くか分からない
扉を開けては走り、閉めてを繰り返す。
そしてついにカウントダウンが三十秒を切る。
跳び箱らしきものを動かし、ドアの前へと置き塞いだ。
そしてその跳び箱の前に僕は三角座りで身を潜めた。
薄暗い密室に埃や湿気が混じり今にも気分が悪くなりそうだった。
「ねえ」
上の方から女の声が聞こえる。
見上げると天井の通気口の扉が空いていて、そこから
少女が飛び降り、着地した。
幸いにも着地点がマットレスで大きな物音はせず、
手下に気づかれるなんていうことはなかった。
少女は服についた埃を手で払い、僕の横に同じように三角座りで座った。
「疲れたわ」
彼女はそう言うとふぅっとため息をついた。
僕らが居る場所は狭いが、体育倉庫のような物置だった。
息を殺し、時折流れるゲームの経過時間に耳を澄ます。
隣にいる彼女は、唇に指を当て何やら考えているようだった。
「今なら行ける」
彼女はその青色の目を見開いたあとに
力強く僕の右手首を掴み立ち上がった。
物という物を踏み台にし、彼女は先ほどの通気口の蓋を外す。
「そこにある跳び箱四段くらいここに運んで」
彼女が指さす跳び箱を指示通り通気口の真下へ段を積み上げる。
積み上げたと同時に彼女は勢い良く壁を蹴り上げ
通気口の上へと移動した。
十代の少女にしては俊敏すぎる動きで、驚きのあまり僕は固まる。
「ほら。あんたも早くしないと奴らが来るわよ。
あと跳び箱蹴って時間稼ぎしてから蓋をしめて」
「えっ? 僕もかい? というか跳び箱の意味は……」
彼女は僕に蓋をよこせというように手を招く。
彼女に蓋を渡し、僕は跳び箱に足をかけた
「……分かった」
運動神経が悪い僕の為なのか、割と容易に彼女の方へ行ける。
跳び箱をぶら下げた片足で最後に蹴って這い上がった。
吐きそうなくらい嫌な臭いが漂う。
通気口内は匍匐前進で進めば何とかなる程度の広さと高さはあった。
彼女は黙々と進み、僕はそれについていった。