Hello♪ぽちです(*ノω`*)
書き終えました!『先輩。』です。よかったら是非見て下さい★"
=http://ha10.net/novel/1425705788.html=
今回もたくさんのアドバイスなどのレスを待っています!
◇‐.◇‐.◇‐.◇‐.
高校生に入った私。
高校といえば、部活で青春とか一番楽しいくて熱くなれると思ってる。
だから、部活に入って毎日充実したい。
私と部活の物語。
いや、私の青春と部活の物語。
これは一生の思い出と宝物としたい。
**
蓮汰が見えた。
予想どうり顔が真っ青で、焦っているのがわかる。
走ってみんなのところまで行く。
あまり状態がわからないから余計に心配になる。
「…蓮汰」
「こいつ、どうしたら、いいか、わかん、ねぇ」
まだ倒れたままだった。
自分では起きられないくらい衝撃があったのか。
意識はあるらしいから、少しだけ安心した。
「取り合えず、私と蓮汰で運べるよね」
保健室へ運ぶしか他に思い付かない。
でも、取り合えず保健室に運んでおけば、薬などたくさん置いてあるし、ベットがあるからずっと安静にすることができるし、何より保健の先生が面倒を見てくれるだろう。
「……よいしょッ」
一斉に持ち上げた。
結構小柄な子で重いといえば重いが、他の男子に比べれば、軽いほうだ。
「急ぐぞ」
小走りぎみになった。
段々と疲れが増し、息切れが止まらない。
蓮汰の手は相変わらず震えが止まっていない。
「保健の先生、拓真がバットで頭を殴られて、倒れちゃって……」
私も焦りが出てきた。
でも本当に保健の先生がいてくれてよかった。
「救急車呼びましょう」
保健室に着いたとたんに救急車を呼ぶことになったのなら、保健室に運ばずにそのまま呼んだほうが早かった気がする。
「なんもないといいけど」
蓮汰は全く反応しない。
窓から外をじっと見ているだけだった。
やっと救急車が到着する。
救急団員の人が保健室にガラガラ引くベットを持って入ってきた。
2人は拓真くんを運んで、1人は保健の先生と話していた。
多分、どうして拓真くんが倒れたかを聞いているんだろう。
「付き添いは先生が行くわね」
私と蓮汰はコクりと頷き、先生と拓真くんは救急車に乗って病院へ向かった。
__無事でありますように。
なかなか更新できない。
明日こそ時間を作ろう。
一応あげときます。
28:ぽち:2015/08/07(金) 23:33 ID:V.6
>>27.様
ありがとうございます☆
なかなか更新できなくて…
今から書きます!笑
**
保健室の先生の連絡先なんて知らない為、その後どうなったかなんてわからない。
「無事だといいけど」
蓮汰と私はまだ保健室に残ったまま。
蓮汰は足が動かないだろうし、今どこかへ動いたって行く場所がない。
「大丈夫だろう、強ぇーもん、あいつ」
絶対蓮汰もまた心配しているはずだ。
何かあったら…って考えるよりも大丈夫だと信じ込むのを優先したんだろうか。
「ね、どうして拓真くんは頭を殴られたの?」
一番気に障っていたことだった。
たまたま当たってしまったのか、それともケンカ等のことがあってやられてしまったことなのか。
「2年が素振りしてたところに拓真が通って当たったって感じ」
素振りしていたのが見えなかったのかな。
もう少し回りを見るということを徹底しなければならないと思う。
「だけど、あれはわざとらしかったんだよな」
え…。
見ていた限り2年生と拓真君の間に何かがあったようには思えなかった。
「どういうこと?」
「あいつ、野球上手いからスタメンで出れてない2年が嫉妬していたりもするらしいんだよ」
1、2年合わせて1つのチームじゃん。
嫉妬はどの部活にもあり得ることだ。
だけど、殴ってどうしようと考えていたのだろう。
「じゃあ事故じゃないってこと?」
違うという答えが出て欲しい。
「多分」
「名前ってなんて言うの?」
「……野崎」
野崎、野崎先輩に話を聞いて見ることがマネージャーに唯一出来ることだと思う。
**
「蓮汰、野崎先輩の番号かなんか知ってる?」
今すぐに話したい。
探偵ごっこなんて思われるだろう。
でも私は犯人探しとかしたいわけじゃない。
「知ってる」
久しぶりに蓮汰が役にたった。
携帯の電話番号を教えてくれたから、とっさに電話を掛ける。
『はい』
野崎先輩の顔が3つくらい色んな人と重なっていたが声を聞いたらなんとなくだがわかった。
「マネージャーの菜月です」
不信感あった声も一気にいつもどうりの声になったから私の名前を聞いてわかってくれたということだろう。
『どうした?マネージャーちゃん』
「いきなりごめんなさい。今って時間ありますか?」
電話からではなく直接話したいと思った。
『いいよー』
軽くオッケーしてくれたから、近くのファストフードで会うことになった。
**
「どうなった?」
隣で電話を聞いていた蓮汰。
「今から会おうと思ってるんだけど」
私が会おうとしていることは承知済みだったとは思うが、まさか本当に会うなんて、という顔を見せた。
「俺も行こうか?」
是非とも一緒に行きたかった。が、やはり部員がいると野崎先輩も話しにくいだろう。
「大丈夫」
その後、「ありがとう」と一言を添えると微笑んだ。
「よろしくな!」
後ろを向き自転車に乗り帰ろうとする彼を見送るのが嫌だった。
「送ってって、マックまで遠いから」
遠いというほど遠くはないが、1人で歩くのはなんだか心ぼそかった。
「は?」
「自転車の後ろ乗っけてよ」
まさかそんなこと言うなんて、と自分でも思ったが幼馴染みとしてなら許されるだろう。
「お前体重何キロ?」
それは幼馴染みだからといって答えれるはずない。
「しーくれっつ」
「デブだから言えねーんだろ、デブ」
身長に合っている体重だと思う。多分。
デブではない、お腹もあんまり出ている方ではないと思う。多分。
「いいから乗せて」
無理矢理乗ってみせてしまった。
すると意外にも受け入れたらしく、すぐに漕ぎ始めた。
「重っ」
とかいいながらも進んでいってくれる彼。
前方が見えなくなるまで大きくなった背中に顔をくっつけると、照れて背中が熱くなったように感じた。
「遅いー、早く漕いで」
急がせる私。
いつかは転ぶんじゃないかと心配をしているが、野球部で鍛えた足は私の体重も気にせず進む。
**
2人で騒いで言い合っていると、あっという間のうちにマックに着いた。
「ありがとう」
乗せてもらった代わりにカバンの中に入っていた、のど飴を2つ渡した。
「よろしくな、マネージャーさん」
トンッ、と肩にタッチをしてきた。
「はい」
マックを覗いてみるとガラス張りになっているところから野崎先輩と目が合ったため、早く向かう。
「蓮汰ばいばい」
大きく手を振り、勢いよく進んでいった自転車を見送る。
「ごめんなさい、いきなり呼び出したりしたりして」
頭を申し訳なさそうに下げ、崎先輩の正面へと座った。
「全然いいけど、どうした?」
私がまさか先輩のことを疑っているなんて知らないだろう。
「あの…拓真くん、バットで殴られちゃって救急車で運ばれて行っちゃったんですけど…」
「うん、それで?」
知らない振りして誤魔化すつもりなのか。
「先輩は拓真くんのことどう思っていたのかなって」
どう答えるのか。
それによってこれからの話の内容が決まってくるだろうし。
「あいつは野球が上手いから尊敬していたよ」
尊敬…。
蓮汰の話によれば、尊敬なぞしていない。
でも全て蓮汰のことを信じているなんてあまりにも不平等すぎるから、それはしないでおこう。
「本当ですか…?私にだけにでもいいから話してくれませんか…?」
**
「ん……」
先輩とすごく親しい関係でないから、そう簡単に私を信じ、話してくれるとは思わないがこれを機に野球部員みんながマネージャーを頼り、マネージャーだけに話せるというのをこれから作っていきたいと考えている。
だが、その日が来るのは遠いだろう。
でも、部員の中に1人でもマネージャーを頼りにしてくれる人がいれば、今はそれでいいと思えた。
「……拓真くんが上手いってチームにとってプラスじゃないんですか?」
このまま沈黙が続くだろうと思ったから、聞きにくいことを聞いてみる。
「そりゃ少しはあいつのお陰で勝ててるかもしんない、けどよ」
悔しそうに話す彼。
きっとすでにライバル意識を持っているため良いところなんて見つけれない。
「俺は、あいつに負けたくない。あいつより努力してるのに、どうしてあいつばっかり。監督もあいつにしか目がないし」
本当に本当に負けたくない、今現在負けているということを悔しがっていることが伝わってきた。
「努力なんてしていない人いるんですか…?みんな同じように努力しているから私はそれ以上に努力したらきっと今よりももっと上達するんじゃないかなって思います」
でも私はもうひとつ、先輩がどうして試合に出れずにいるかが、今日の話を聞いてわかった気がする。
「つまり俺の努力が足りねーってことか?」
悔しそうにしていた顔が一気に変わった。
**
「いや、そういう訳じゃないです。でもみんな同じように頑張っているってことです」
上手く言葉として伝えることが難しかった。
だけど、ただただ、聞いて欲しい。
部活をしていて仲良く活動出来ないなんてつまらないだろう。
本人たちはもちろん、回りも嫌だと思う。
「それに、拓真くんは大切な大切なチームメイトですよね。拓真くんのお陰で全ての試合が上手くいくとまではいかないけど、拓真くんがいてこその、この野球部じゃないのかなって私は思いますけどね」
言いたいことを遠慮なくバンバンと吐き出してしまった。
「申し訳ないことしたな、本気で最低だ、俺」
やっとそれがいけないということを認めてくれたというか、わかってくれた。
……少しは心を許してくれたかな。
「拓真くん、今どうなのか私にもわからないんですけど…」
そう言うと、険しい顔になり、今までなんだったんだろうか、全く別人だ。
「ありがとな、マネージャーさん」
ただ言いたいことをただ言っただけなのに、お礼を言われて嬉しくなった。
「また何かあったらいつでも話し聞きますからね」
私も一歩ずつ野球部の頼られるマネージャーとして進みたい。
「ありがと」
その後、LINEのアカウントを交換し合った。
野崎先輩はこれから、もしかするとLINEを通じて相談等してきてくれるのか。
「じゃあ、あいつの状態わかったらまた連絡よろしくな」
もちろんと言うかのように頷いて、先輩と別れた。
……蓮汰に報告しよう。
**
iPhoneをカバンから取り出し、LINEを開き、蓮汰を探し出す。
個人トークから,無料通話を掛ける。
『もしもし』
数秒の内に繋がった。
私のことをずっと心配して待ってていてくれたのかな。
「話、聞いてきたよ」
そう報告すると、何やらため息を吐いた。
勝手な予想だが、やはり蓮汰は心配しながら待っていてくれたことだろう。
『なんだって?』
まだまだ私のことを未熟だと思っている蓮汰。
蓮汰に頼られるのは、まだ先のことになるだろうか。
「……野崎先輩が拓真くんをバットで殴ったっぽい」
そう言うと、少しの間黙り続けた。
蓮汰だって、事故だと思いたかっただろう。誰かが悪意を持ってやったなんて、
信じれないし、目を背けたくなることだというのは私も同じだ。
『そっか。やっぱ、嫉妬って怖ぇーな』
蓮汰も野崎先輩が拓真くんに嫉妬していたことを知っているということは、
野球部員もある程度の人は勘づいていることだろう。
「でも、先輩悪いってわかってたよ。だから責めないで欲しい」
もしも、部員がその真実を知ってしまったら、野崎先輩は野球部に居場所がなくなってしまう。
でも、誰か1人でも味方がいたとしたら、少しの居場所はあると思った。
その人が蓮汰であって欲しかった。
蓮汰は話さなくたって、一緒にいるだけで安心できるという魔法の力の持ち主だからだ。
『拓真を傷つけたことは許せない』
承知の上で言ったよ。
誰だって許せないものだってある。でも、野崎先輩も大事な野球部の一員だから。
「許さなくたっていいと思う。だけどもし野崎先輩が野球部にいなくなったらどうなるかわかる?」
蓮汰に間に何もいわせないように続けて話した。
「みんなを支えてくれる人がいなくなっちゃうよ。野球部を明るくしてくれる人がいなくなっちゃう」
ここ数カ月野球部を見てきて、だいたいみんなの個性が見えてくるようになった。
そこで、野崎先輩は試合等はプレーする側ではないが、ベンチを盛り上げてくれたり、
休憩の合間は率先して水を渡したり、ベンチから見て相手の弱点を探し当て、選手に伝えらりしている
姿が見られた。
『……そう。だな』
どうか納得してくれたらしい。
人一倍心が優しい蓮汰ならこの事件も解決してくれることだろう。
「あとは任せた!」
マネージャーの仕事はこれでおしまい。その後は見守るだけ。
蓮汰は「ありがとう」とお礼を言い電話を切った。
「ふー」
なんだか、解決できそうな気がしてきた。
いろんなことがあったが、これを機に野球部の絆がより深まると嬉しい。
**
解決したことは嬉しいが、拓真くんがどうなったかがまだわからないため、不安が残っているまま、朝練へと向かった。
「おはようございます」
どの部員よりも早く学校へ来たつもりだったが、監督さんの方が早く来てきたらしく、挨拶と一礼をして前を通りすぎた。
「……岡田」
仮入部以来、監督さんには名前なぞ呼ばれたことがないから、いきなりのことで驚きが隠せない。
「早川のことなんだけどな……」
拓真くんのことはもちろん監督さんにも伝わった。
何かを知っているのだろうか。
「無事らしいぞ!」
今までどこか怪しげな顔を見せていたが、笑顔で私に教えてくれた。
「……よかった」
何かあったら、部活が停部になるという噂も回っており、でも無事だと聞いて、その停部というのも取り消されることだろう。
「だが……、野崎が辞めるらしい」
え……。
どうして、どうして、どうして野崎先輩が辞めなければいけないの……?
殴ってしまったのは悪いことだ。
でも辞める必要はないじゃん。
野崎先輩が辞ちゃったら、この野球部がどうなるかなんて想像つくのに。
自分から辞めるって決めたの?それとも誰かが辞めろって責めたの?
「それは、野崎先輩が自分から言いに来たことなんですか?」
という私の問いかけに、監督さんは静かに縦に首を振った。
「え……」
ショックすぎて、訳がわからなくなってしまって、ただ涙が溢れるばかりだった。
他の部員は知っているのだろうか。
誰か説得してほしい。
マネージャーの出番はこれで終わりにしようと決めた。
だけど、辞めてしまうなんて黙ってはいられない。
**
瞬時に思い付いたのか、私は反射的にiPhoneから蓮汰の名前を探していた。
「ダメだ、、、」
電話を掛けようとしたが、蓮汰に頼ってばかりで自分1人でやりきったことがない。
私が先輩のことについて勝手に首を突っ込んだから、最後までやらなければならない。
「あ」
そういえば、野崎先輩の連絡先を交換したからLINE通話ならできる。
先輩がどこかへ行ってしまうんじゃないかと考えると焦ってばかりで手が震えてなかなか着信が押せない。
__プルプル
固まっているままでいると、iPhoneが震えた。
誰かからの着信らしい。
「……は、はい」
誰かも見ずに、とっさに電話に出た。
『わかる?俺だけど』
この声はもしかして……
と思い、耳に当てたiPhoneを離し、画面を見た。
【 野崎 】
知り合いでは野崎とは、野球部の野崎先輩しかいないし、声も確かに野崎先輩だった。
誰か確認し終えると、また自分の耳へとiPhoneを戻した。
『俺……、部活辞めた。色々と話聞いてくれてありがとな、マネージャー』
丁度電話しようとしていたし、それに、手が震えてなかなか電話を掛けれなかったから、掛けてきてくれてよかった。
先輩は辞めることに対してもういいと思っているだろう。
でも、辞めてほしくない。
少しでも辞めたくないと心が揺らいだらそれでいいのかなとも思い始めた。
「監督さんに聞きました。でも私は野球部には先輩がいないと野球部じゃなくなっちゃうと思うんです」
電話からだから相手がどんな顔をして、話を聞いているのかわからない。
もしかしたら、こんなくだらい話をされて、年下に説教っぽいことをされて、苛ついているだろうか。
それともバカにして笑っているのだろうか。
やっぱり説得するには、私の力不足かな。
『俺がいても、チームが悪くなるだけだから』
悪くなるわけない。
先輩が拓真くんに嫉妬していることはみんな知っているのはずだ。
なのにここまで仲良くやっていけたということは、先輩が原因ではない。
「絶対にそんなことないです!」
それ以上先輩に話をしても、今日は揺らがない。
だから、それだけハッキリ言って、電話を切った。
ぽちさんこんにちは。「部活」読ませていただきました。
第一印象としては描写抜けの多い作品だと感じました。例えば冒頭で「幼馴染みの蓮汰。 家が近いこともあって、会うと2人で帰ったりもする」という文がありますが、これは帰ったりもする習慣を書いているだけで「今は」「どう」なのかという「いつ」「どうした」に当たる部分が書かれていません。
その他上げてゆけばキリがありませんが特に目についた描写抜けは「また部活の話題。
なんか情けなく思えてくる」といった「だれが」の部分が抜けている文が多かったです。
また終盤に使われていた「〜ていることだろう」のような表現のズレも目立ちました。
(していることだろう。という言葉は「〜に違いない」という断定、決めつけの意味があるので、「〜だろうか?」という意味で使うのは少し無理があります)
ただ、ストーリーにはとても引きつけられました。作者様にそういった経験があるのかは分かりませんが、主人公が野球部のマネージャーとして揺れ動き変化して行くさまは、とても繊細で心動かされるものがありました。
だからこそ惜しい。その場の雰囲気、状況も合せてしっかりと正しく書き込めば、もっと主人公に感情移入できるのに! というのが私の個人的な感想です。
>>38 楓様.
なるほど…。
確かに詳しく書かれていないですね。
ほんとに楓様のアドバイスは参考になります!
ありがとうございます!
ぜひ完結したらまた読んで頂けると嬉しいです´ω`*
読みましたぁー!
やっぱ文才ありますよ!!
すごいおもしろいですし!
続き気になります。。。
またちょくちょくコメントします♪
頑張ってください!!
>>40
ちぃぽぽ*ですw
**
諦めたというか、やはりマネージャーが前に出て解決することではない。
部員はみんな野崎先輩と野球をしたいはず。
だから、部活の一番に偉い人に任せて、私は陰から見守ることにした。
丁度大人数で喋りながら部員が部活に来て、来るはずの部員は全て揃った。
わいわい笑いながら来ているのだから、当然この野球部から1人いなくなってしまったことなんて知らないだろう。
それに、今からそんなこと聞かされるなんて想像もしていないだろう。
「全員集合しろー!!」
監督さんのその言葉にみんなはこちらへ振り向いた。
ついでに、私にも来い、というかのように、手招きした。
「「はいっ」」
返事をし、こちらへ駆け足で集合する。
被っていた野球帽を取り、監督さんに一礼をしてからまた野球帽を元の位置へと直し、監督さんの言葉を待つ姿勢を見せた。
「早川の話だが、何があったのか知っているだろ?あいつ何もないらしいぞ。よかったな」
ザワザワし始めた。
時より笑顔を見せる。
やっぱり、拓真くんも大事な部員の1人だもんね。
「それと、マネージャーから話があるらしい」
……え……?
いきなりの振りすぎて固まってしまう。
私、何か話したいことがあるから時間をくれって頼み事したっけ。
でも、だいたいわかった気がする。
「じゃ、俺予定あるからマネージャーの話終わったら自主練…は危険だから、自由にしろ」
これは、監督さんからの合図だろう。
「ありがとうございます」と口パクで伝えるとスルーされた。
私と部員は監督さんに頭を下げ、一瞬微笑んでグラウンドを出ていった。
>>40 ちぃぽぽ* 様
ありがとうございます!
いや〜、嬉しいです 笑
これからもよろしくお願いします))
きました(`・ω・)ノ
面白いですね!
菜月ちゃん いい子すぎだろ...
野崎さんやめても良い(((((
なんてw
部内恋愛、だめなのか!
私の部活そんなのないぜー
更新まってます!
>>44 :+☆日和 様
ありがとうございます☆"
これからもよろしくお願いします( ーuー´) ←
**
部員のみんなはこちらをジッーっと見つめ、早く話して自由にさせろ、というのを示してきた。
「あ、あの、」
誰も喋らず静まり返っているその場で話すことになる。緊張して声が震えてしまっているのが、自分でもわかる。
「野崎先輩のことなんですけど……」
主将の顔を見ながら話しているとガッツポーズをしてくれて、話し終わったらこの人に任せよう。
「私が辞めないでとお願いしても全く効果なかったんですよ、だから一緒に……」
私がまだ話している途中の時だった。
「あぁ、いいよ」
主将が答えてくれた。
1年生の中には、反対する人もちょこちょこいた。
その気持ちもわからなくはない。
だって同じ学年の人だから。
でも、野崎先輩も同じ野球部の仲間だから……。
「……でもどうしたらいいのかわからないんです」
私には出来ないけど、仲間なら出来ることならあれかも知れない。
「監督が自由時間くれたのってこのためなんじゃない?!て、ことで今から野崎呼び出すか」
主将は私と同じことを思っていた。
納得するように、私は大きく頷いた。
そして、呼び出して話すことにした。
反対していた1年もさすがに先輩に逆らうことができず、結果、会って説得することとなった。
「今から来るらしいよ」
主将が野崎先輩に電話をしてくれて会うことが出来るようだ。
**
みんな落ち着かないまま、野崎先輩が来るのを待った。
家がどこにあるかは知らないが、結構学校から近いらしいから早く来ると思っていたけど30分経っても来ないままだ。
「おっせーな、あいつ」
辺りは待ちくたびれ、今まで立って待っていた部員も今はほとんどの人が座っていた。
ただ、主将だけは違った。
ずっと立っており、疲れなど見せず、野崎先輩が来るであろう門の方を眺めていた。
……あ 。
その時だった。
主将と反対の門を見てみると野球着を着ている人の姿が私の目に映った。
「主将」
そう呼んでも反応はなく気付いていない様子だったから肩をそっと叩いた。
「わぁ、どうした」
相当真剣に眺めていたのか、いきなり肩を叩いたことで驚いた。
「あれ……」
野球着を着ている野崎先輩らしき人を指差す。
「来た!来たよ、みんな」
不安そうな目は一気にキラキラと輝いて見せる。
部員もその主将と同じかというように一斉に立ち上がり嬉しそうに微笑み、野崎先輩がこちらへ向かってくるのをひたすら待つ。
「よぉ」
野崎先輩はこちらへたどり着き、声を発した。
変わらない、いつもどうり声だったが、みんなに会えて嬉しいのか前に会った時よりも素敵な声だったように感じた。
「まぁ座ろうか」
その発言に再びグラウンドに座りこんだ。
野崎先輩を囲うようにしてみせた。
更新遅いですよね┃ω・`)
高校受験が待ってるのでお勉強もやらなきゃいけないんです `¨´
((と、言いつつも勉強なんてやってないけど笑))
時間見つけて必ず更新します!!
誰か見てくれている人がいるかもわかんないのに、いる感じで書いちゃいました( ̄▽ ̄)笑
**
誰も話を切り開くことが出来ず、沈黙と共に重い空気が流れている。
野崎先輩もだいたい何をうちらが考えているなんて察しているだろう。
「俺、みんなで野球がしたいっす」
そんな中、口を開いたのは蓮汰だった。
1年生だろうが、スタメンでなくたって、言いたいことをぶつけ合い、そういうことで時にはケンカをしたがみんなが素直になることでこのチームを本当に良くしてきた。
「俺もそう思う。みんなが揃わなかったらこのチームは出来上がらない」
続くように、主将は立ち上がり私が思っていたことをそのまんま言ってくれたような。
「遅れてすいません!」
後ろからあの人かな、と思うような声が聞こえた。
「おい……」
野崎先輩がやっとか、というように、口をようやく開いた。
そこには、頭に包帯のようなものを巻いている拓真くんが立っていた。
「遅せーわ、拓真」
蓮汰はそう言ったが、顔は驚いているように思えたのは気のせいか。
多分、蓮汰も含め部員全員知らなかっただろう。
もちろん私も知らなかった。
だとしたら、これも監督の仕組みなのか。
「よし、拓真が今どう思ってるか吐き出せ」
主将が笑顔でそう提案すると「はい」というかのように大きく縦に頷いた。
ぼちさん!
この小説出来たときからみさせてもらってます!
とてもおもしろい作品です!
これからも愛読させてもらいます!
勉強も頑張ってね!
先輩。読みました!とても面白かったです。
部活。とっても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます♪
>>50 .わをん様
ありがとうございます!
嬉しいです(ノ)・ω・(ヾ)
これからも、よろしくお願いします(._.)_
>>51 .匿名様
ありがとうございます!
2つとも読んで頂いて、ありがとうございます(*´エ`)
これからぜひ見てもらえたら嬉しいです(つω・`)
**
「俺、別に野崎先輩のこと嫌いじゃないですよ。逆に好きです。ちょっとはうざって思ったけど先輩と一緒に部活をしたいです」
拓真くんはそう言い切って野崎先輩の隣へと座り込んだ。
改めてこの人はたくましいと感じる。
「あの」
私も言いたくなってしまって、声を発すると「は?」みたいな顔をこちらに向けられた。
「なに?」
みなさんお揃いで同じ言葉を返してくる。
……やっぱりみんな仲良しじゃん。
「拓真くんもこうやって言ってくれているんだし、辞めてほしくないです。あと、このチーム、私だいすきです」
私もまた、拓真くんと同様に、拓真くんと反対側の野崎先輩の隣へと座り込む。
「だいすきって何だ?」
蓮汰がツッコミを入れてきた。
よくケンカするし、仲良しすぎて嫉妬するときもあるけど、だいすきなんです。
「俺もこの野球部が好きだわ」
隣にいた先輩が立ち上がり笑顔でそう言い張った。
「じゃあ辞めんなよ」
座っていた部員もみんな立ち上がり、先輩の元へと駆け寄った。
「拓真ほんとにごめんな、それとみんなほんとにありがとう」
改まった感じの言葉は正直似合わない。
だが、素敵な人達に出会えたことに感謝していることだろう。
「やったな、マネージャー!!」
主将がいきなり抱き着いてきた。
「え……」
もちろんわかっている。
これはチームの一員として認めてくれた、ってこと。
**
「あ、ごめん。つい」
主将は別に私に特別な感情を持っていないと知り、少し安心した。
「監督さんに連絡しましょうよ!」
私は監督さんの連絡先を知らないため、提案することしか出来ないが、やはり監督さんはきっかけを作ってくれて感謝でいっぱいだし、何より一番このメンバーで揃って野球をするということに嬉しさを感じているのは監督さんだと思うし。
普段は照れ屋でなかなか言ってくれないけど、監督さんは誰よりもこの野球部を愛している。
「マネージャーが連絡したら?あげるよ、番号」
携帯の番号を教えてもらい登録した。
これがあればSNS等も出来る。
なんか繋がれたって感じで嬉しいな。
早速、監督さんに電話を掛けてみる。
『はい』
相変わらず、ダンディーな声はこちらに安心感を与えてくれている。
「監督さん!マネージャーの岡田です、こんにちは」
『あ、で?』
この方は電話料金とか気にするのか。
とっとと電話を切りたいような返事をされ、さっきの安心感を裏切るような感じだ。
「野崎先輩、戻って来てくれました!ほんとに監督さんのお陰です。ほんとにほんとにありがとうございました!!!」
「ありがとう」その言葉でいっぱいだ。
「良かったな、いや、でもそれは俺のお陰じゃなくて、お前も含めた部員のお陰だからな、報告どうもな、じゃあ明日も頼んだ」
私に喋らせる時間もなく、自分の言いたいことを言い終えた監督さんは直ぐに電話を切った。
監督さん、それ言うんだったら、監督さんも含めた部員のお陰だよ。
すいません。
訂正です(´・ω・`)
×「良かったな、いや、でもそれは俺のお陰じゃなくて、お前も含めた部員のお陰だからな、報告どうもな、じゃあ明日も頼んだ」
○『良かったな、いや、でもそれは俺のお陰じゃなくて、お前も含めた部員のお陰だからな、報告どうもな、じゃあ明日も頼んだ』
カッコの間違えで、電話での監督さんの台詞です。
**
電話を切り、またみんなの輪へ戻る。
「ちょっと、お話いいですか?」
みんなに今、私が考えていることを直ぐに伝えたいと思った。
私が言い出すと、冷たい目で見られるが慣れるしかない。
「これからも、よろしくお願いします!そして夏の大会頑張りましょう!!」
夏の大会がそろそろ待っている。
夏の大会といっても、市内大会を勝ち抜けて地区大会を勝ち抜けて甲子園まで行かないとすぐに秋の大会が待ち構えている。
秋の大会に甲子園へ行けないと、この部活は今の一年生のチームへと代わってゆく。
「マネージャーがバカだったらどうしようもないよなー」
「頑張ります、もちろん私も頑張ります!だからみんなもぜひ!」
「はーい」と一応返事はしてくれたものの、その適当さには不安が隠れているように感じたが。
「みんな揃ったし、明日から本格的に夏大に向けてやっていこうな!」
主将がそう気合いを入れ直すと、さっきとはガラッと違い、元気よく返事をした。
不安はないように見えたから、よかった。
「ありがとうございました!」
監督さんがいない為、グランドだけに挨拶をして解散となった。
明日からの練習が本当に楽しみ。
だが、マネージャーは段々と仕事が増え、大変になるがみんなが大会で今までやってきたことが全て出せれるように支えたい。
**
毎日、毎朝、楽しみにしていたが、今日はなんだかいつもよりもわくわくしているのは部員が揃い、ここから試合に向けて走り始めるからなのか。
「お願いします」
教科書等が入っているリュックサックを背負い、大量のお茶やタオル等が入っている部員より少し小さめでピンクのエナメルバックを肩から下げながら、私も部員と同様にネットをくぐり、グランドへ挨拶をしてグランドに入る。
「マネージャー、今日もよろしくな」
主将がこちらへ向かってきて、そう言いながら肩を叩いた。
この部活はどんなに女が重い荷物を持っていようと、決して持ってくれない。
もちろん女だけでなく、先輩、後輩、関係なく先輩がどんなに重い荷物を持っていても自分の物は自分で持つという決まりらしい。
「おーぃ」
「いくぞぉぉ」
野球部の練習が始まった。
私もいつもどうりに自分の仕事を始めてゆく。
段々と、効率の良いやり方がわかってきた為、部員が練習している間に練習を観察したり、監督さんと話したりする時間も作れるようになった。
「岡田」
監督さんに名前を呼ばれ、キュンとなってしまうのは許してほしい。
「はい」
首にかけていたタオルで顔を拭き監督さんの方に振り向いた。
「今週の土曜に練習試合組んだからスコアの書き方確認しとけ」
私にとっては初の練習試合が待ち構えている。
わくわくとドキドキが今からしてきた。
「あとやっておいた方がいいことってありますか?」
「その時になったら言うから」
**
それから、地区の図書館に足を運び、スコアブックの付け方などが書かれている本を借りた。
前に蓮汰に借りたスコアブックの説明の本をまとめたノートも読み返すなどして完ぺきにこなしていった。
主将からのアドバイスで、プロ野球の中継を試しにスコアを付けてみると聞いたから、何度も実践し、土曜の練習試合に挑んだ。
ついに、今までやってきたことが試される場がやってきた。
試合開始は9時からだが、朝練と同じ時間に集まることになっている。
この学校で試合をする為、会場準備というものが付き物だ。
本当の試合とは違い、審判も呼ばないため、自分達で準備からしなければならない。
「今のうちに、スポーツドリンク作っといて!いつもの2倍で!あ、あと相手校用にもう1つ作っといて、それも2倍で。入れるのは部室のどっかにあるから探して!よろしく」
早口の先輩はとても急がしそうに動いていた。
この時期になれば、朝も昼も変わらず同じ気温な為、少し動いただけでも相当な汗をかく。
「これ使って下さい」
「さんきゅ」と言いながら受け取る。
先輩に部室から持ってきた青色のタオルを渡し、流れ落ちてきている汗を拭き、すぐさま首に掛けて動き始めた。
「ほいっしょ」
再び部室へ戻り、相手校用の入れ物を探す。
奥の方に隠れていて、それはホコリまみれだった。
「うわぁー」
正直、新しいのを買えばいいのになんて思いながら、ホコリまみれになったそれを雑巾で払い落とし、最終的に水で洗い流した。
「はぁ」
少しキズがあるようにも思えたが気にしない。
自分達用の入れ物と、相手校用の入れ物を横に並べ、アクエリアスと書かれた粉状になっているものが入っている袋をいつもなら2つだが、4つと、アクエリアスのレモン味の同じような袋を4つを各水筒の大きいバージョンの中に入れ、水と混ぜ合わせ氷を投入し完成した。
「運ぶの手伝って」
1年部員に手伝ってもらった。
2リットルの水筒を4つ、1人で運ぶなんてとてもじゃないけど無理だから。
「重っ」
私だけしか発しなかった言葉。
部員は毎日鍛えているせいか、楽々と運んでゆく。
**
私のマネージャーのやることも終わり、ライン引きやコート整備などの会場準備も終わり、試合に向けてのストレッチが始まった。
まだ相手校は来ていないが、相手校もアップなどをしてからこちらへ来るだろうから、相手校が来たら直ぐにでも試合が始められるように、こうして備えておくのが普通らしい。
「マネージャー、相手校来たら更衣室案内しといて」
更衣室へ案内出来ないくらい練習をしたいのか。
そう思ったが、私が暇そうにしていたから役割をくれたんだろう。
「挨拶って……」
更衣室へ案内する前にまず挨拶が先だと思っていた。
練習したそうで、邪魔するなよ、というムスッとした顔で振り返えられたが気になったことは事実。
「重い荷物持ちながら挨拶するのって嫌じゃん」
成る程なっと思ったが、でも、挨拶するときって荷物下ろして挨拶するんじゃないのかな。
「なに?なんか言いたいことあんの?」
心の中で思っていたことが顔に出てしまったらしく、余計不機嫌の主将になってしまった。
「ないです、すいませんでした」
深く頭を下げ、どうにか主将の機嫌を直そうとするがなかなか上手くいかない。
「マネージャーってさ、可愛い顔しときながら結構頑固だったんだね」
何も言い返すことが出来ず、取り合えず微笑んでおいた。
「練習試合頑張って下さいね」
言葉と共にポケットに入れておいたキャラメルを渡して、監督さんの近くへと逃げ込む。
「おぉー、岡田いい所に来たな!はいこれ、やるわ」
そう言って帽子を私の胸へと押し付けた。
「これ、貰っていいんですか?」
うん、と示すように縦に首を振った。
それは、部員と同じロゴの入った野球帽だった。
ただ、部員の野球帽は紺色だが、私のは薄いピンク色のだ。
……すごく嬉しい。
「ありがとうございます」
私は今まで監督さんに見せた笑顔の中で一番良い笑顔を見せた。
ああっ、もうダメッ!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!!
ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もう
ダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
いやぁぁっ!あたし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
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ダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
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ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
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いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!
うざ。荒らしとーじょー
トリップ付けます、これから(o´艸`o)
>>61
しかも私、一番上開けてから書き始めますから ◎
気分悪い
**
「マネージャー!来たよ、相手校」
紺色のユニホームと赤色のロゴ入りの紺色の帽子に包まれた相手のチームがスタスタと歩いてきた。
「……っす」
「おねがいします」
野球部のグランドへ入るネットの前で一礼と「お願いします」と言いぞろぞろと入って来る。
「おはようございます、更衣室まで案内します」
小走りへ相手校の野球部へ近づき、一声かけると、何も言わずに着いてきてくれた。
「こちらです、どうぞ」
更衣室の前に来て、更衣室を指差しドアを開け中に入ってもらう。
「あざっす」
次から次へと、皆さんがありがとうと言いながら更衣室へ入っていくため、こちらも気持ちが良かった。
「マネージャーいる野球部っていいよな」
ある部員がそう発言したことに対し、なんだか反応してしまう。
「いないんですか?マネージャー」
ついつい気になっていたから聞いてしまった。
野球部にマネージャーがいない学校なんて今どきいるのだろうか。
私立高校には必ず1人はいるもんだと、てっきり思っていたが人で不足というのもあり得る。
「一応募集してるんだけど、うちの主将がイケメンすぎてさ、マネージャーになると主将の女子ファンに嫉妬されていじめられるからみんなそれを怖がって入ってくれないんだよね。それに入ってくれても直ぐにやめてっちゃうし」
そういえば、絢佳に以前そのような忠告を受けたことがある。
でも私はマネージャーになってからまだ一度もいじめられていない。
いじめられるのを怖がるのもわからなくはない。
だから仕方ないことでもあるだろう。
**
「やっぱり、男子の中に1人女子だったらいじめられますよね」
私は苦笑いでそう言った。
もしも私が野球部のマネージャーでなくて、野球部に好きな男子がいてマネージャーの女子と仲良く話しているのを見ると嫉妬するし、でもそれでいじめるって言うのはやっぱりおかしいと思うけど。
「すごいね、あなたは」
「いや……、ありがとうございます」
そういえば、マネージャーになってから褒められるよりも注意されることが多いからなんだか顔のほっぺが上がっていく。
「好きな男、野球部の中にいるの?」
あ。
マネージャーと部員の恋愛っていうのがどっかの映画やら漫画やらで見かけたことがあり、絶対私もなってやる!って思っていたのだが、恋愛する暇もなく、私はマネージャーとして一生懸命働いていた。
「この野球部、部内恋愛禁止なんですよ」
憧れだったのが、入部して一気にそれを憧れが叶わないことを思い知らされる。
「そんなん守ってる人なんていると思うか?」
この2人は私と話していて良いのだろうか。
他の部員は着替えておっきいエナメルバックを置いて水筒とタオルを持って、スパイクに履き替え更衣室から次々出てくる。
のにも関わらず、この2人はまだエナメルバックを持ったまま、まだ何にも準備していない。
「いないって思ってました!てか、大丈夫ですか、時間とか」
やっと気付いたのか、辺りをキョロキョロ見渡している。
「やべぇ、すまん!ありがとな」
急いで更衣室の中へと入っていった。
**
彼らは更衣室へ入っていったため、私はまたグラウンドへと戻る。
すると、いつもより倍ぐらいの野球のユニホームを着た人がいた。
「マネージャー、ありがとう」
試合開始寸前でシートノックを行っている。
監督さんがバットでボールを打つ。
そのボールを各守備で守っている部員が捕る。
まず、内野手のノックをしその後に外野手のノックを行い、スタメン以外の部員はボール渡しやカバーなどをして効率よくする。
本当の試合ではシートノックはタイマーで時間を制限されているため、その練習というのもあるだろう。
「ありがとうございました」
シートノックが終わり、ベースから離れ、ベンチの前のライン際に達、あいさつをして相手にシートノックを代わった。
そして、こちらはスタメンを告げられ、作戦なども話し合う。
「勝つぞー!!」
「おう!!!」
円陣を組んでいないが、主将のその一言で盛り上がりを見せた。
「集合」
審判、というが学校にいるコーチに審判をやってもらい各チームが集合する。
「お願いします」
ホームベースに沿って両チームが並び挨拶をし、一礼をしてからベンチへ戻っていく。
まさかのまさかね、
名前間違えるとか
>>66は、ぽちです
久しぶりです !!!!
テスト乗り越えて来ました! 気楽になったから、これからは毎日更新出来そうです(●´ω`●)
これからもよろしくお願いします!
**
時間短縮のため先攻、後攻を決めず、その学校で行うチームが自動的に後攻になるから、うちらは後攻となった。
後攻ということは先に守備から始まる。
ピッチャーはボールとグローブを持ってマウンドへ、キャッチャーは防具を体に着けてキャッチャーミットを持ってホームベースへ、内野手は各ベースの回りに、外野手は遠くの方へ向かってゆく。
「ノーアウトー」
キャッチャーが指を丸めてゼロというのを表す。
「ストライク!」
うちのチームのコーチが腹から出す声はグラウンド中に響き渡る。
「マネージャー、書けてる?スコア」
今日もベンチスタートだった野崎先輩がスコアブックを書く用の机にいる私に覗きながら話しかけてきた。
「あ、んー。微妙です」
「そうか」と言って、離れていってしまった。
今日はベンチスタートの野崎先輩だが、必ずスタメンで活躍する日が来ると私はひそかに思っている。
こんなに努力している人はあまり見かけによらない。
というか、絶対にスタメンで活躍して欲しい。
「アウト!」
セカンド方面に転がったボールはやがてファーストのミットへときちんと収められた。
「ナイス、セカンド」
3アウトを取った彼らがベンチへ戻ってきた。
**
「お疲れさまです」
ベンチに戻ってくる選手に一言つづ掛け、迎え入れる。
「打てよー」
サインの確認をして、ヘルメットを被り、バットを持ってバッターボックスへと1番バッターが入った。
「ボウル!」
相手のチームのコーチがやる審判はうちのコーチと違いあっさりとした口調でカウントをしていく。
「抜けろ、抜けろ」
サード方面に転がっていったボールは抜けることを願っていたベンチを静かにさせた。
サード方面といえぞ、フェアボールであり、なかなか捕りにくいボールなのだが、相手選手は楽々とフェアのボールをさばいた。
その後もレフトフライに倒れた2番バッター。
早くも2アウトとなってしまった。
「打て!打て!打て!」
後輩がバッターボックスの先輩をリズムに乗りながら応援する。
「3ボウル、2ストライク」
あと一球で決まる、いわゆるフルカウントというやつだ。
ファールの場合はフルカウントで続行されるが、ファール以外はあと一球で決まる。
もちろん長打を打てる力も必要だが、ベースに立つには選球力も大切だ。
選球力がなく、ストライクゾーンではないボールを振ってしまうと、フライになったりしてすぐアウトになってしまう。
「おぉ」
難しいぎりぎりストライクゾーンのボールをなんとかバットに当て、ファールゾーンに運び思わずベンチから歓声が起こる。
「あー…」
粘ったものの最後はボールと判定したバッターに対し、審判はストライクと判定したため、3アウトになって終わった。
野球部マネージャーなんですけど、日向もこんな青春したぃなーって思ぃながら読んでます!!
応援してるんで、更新頑張って下さぃー!!ww
>>70 日向様
ありがとうございます!
野球部のマネージャーなんですか!?
羨ましすぎます(〃ω〃)
あたしの憧れっていうか、妄想というのか、なんか自由に書いてるんでよくわかんないんですけど…(汗)
これからも是非よろしくお願いします!
**
打たれたり、打ったりしたがなかなか両者とも譲らず1人もホームベースを踏むことなく、このまま6回を向かえた。
「ファースト交代します」
監督さんが相手のチームにファーストの交代を告げ、元々スタメンで出場していたファーストの選手は代打で起用された1年がファーストにそのまま入ることになった。
「マネージャーも交代したことスコアに書いといてね」
何がなんだかごちゃごちゃしてき、焦りが出てきたため返事の声も発することが出来ず、こくりと頷くことしか出来なかった。
「俺の出番来るかな…」
不安そうに聞いてくる野崎先輩は笑顔の裏側に寂しいという感情が見えてくる。
「来ますよ、絶対」
いつも頑張っている野崎先輩は私は一番に応援している。
好き、という感情よりも尊敬というのが強いかも知れない。
「マネージャーも頑張ってね」
頭をポン、ポンと優し叩き彼もまた私と同じように私を応援してくれているのだろうか。
試合に集中しないといけないのはこれからなのに、まだ両者とも無点ということで飽きてきた。
そんなこと思ってはいけないのだが、やはり点数が入らない試合より、入って入れられてというシーソーゲームのような展開の方が飽きずに楽しめる。
「ピッチャー、ストライクいけるよー」
ボウル先攻となってきた6回は選手もベンチもより声が大きくなり始める。
この雰囲気はいいが、ボウル先攻になると球数が増えてくると、疲労が溜まり最後まで持たなくなってしまう。
「ボウル!」
ストライクの判定がされることなく、バッターボックスにいた相手のバッターは4ボウルを選びファーストまで歩いた。
「タイムお願いします」
4ボウルになったところで、キャッチャーが審判へタイムを要求し、各守備のところからピッチャーマウンドへと選手が集まる。
**
マウンドで集まる選手は何を話しているのか、遠くて何にもわからない。
ただ、選手は笑顔でいるからきっと作戦なんて話していないだろう。
ピッチャーを励まし、落ち着かせるためのタイムをキャッチャーが取った。
「ありがとうございました」
キャッチャーが審判にタイムを取ったお礼を言う。
タイムが終わったらしく、みんながそれぞれの守備の場所へと散らばっていく。
「頑張るぞー!」
4ボウルをついさっき取ったことのようには思えないくらい明るくて元気だった。
そういう表現を見たら、なんだか自然とこちらまで笑顔にさせていく。
「ストライク」
やはりタイムを取ったお陰なのか、今までボウル先攻だったのが、ストライク先攻へと変わっていった。
「ナイス、センター」
センターフライとなったそのボールはきちっとグローブの中へと収められ、アウトを取ることができた。
だけど、4ボウルを選んだランナーはタッチアップがあり、2塁へと進めた。
「ランナー気にしずいこうぜぇ」
ショートにいる主将が一声掛けると、「おう!」という言葉が響き渡りまるで練習試合とは思わせないような集中力と真剣さだ。
「ショート、!!」
ベンチからショートへ転がるボールを見て、取れるよ、とか言うように守備の名前を言う。
**
ショートの主将はグローブに上手く収め、3塁に進めようとするランナーをサードでアウトにし、サード守備はファーストに送球しアウトを取り、ゲッツーとなり交代を迎える。
「ナイス、主将!」
「さすがお前はすごい主将だな」
たくさんの主将を讃えるような声が聞こえた。
「ねぇねぇ、マネージャーちゃん」
みんなに囲まれていた主将はスコアを書いている私の元へと近寄ってくる。
「主将さん」
「俺の名前、高橋隆だけど」
確か前にも私に名前で呼べと言われたことがあったような。
「なら私だってマネージャーって名前じゃないですよ?」
普段の私なら先輩にそのようなこと言うタイプではない。
だが、調子に乗ってみたというか、どんな反応をするのか見てみたいというか、いつも言われっぱなしでいたらこちらだってやってみたくなってしまう。
「菜月ちゃん」
スコアボードが置かれている机に彼は肘を当てて、私の下の名前を呼び微笑んできた。
「主将さん、バッターじゃないんですか?」
少し照れくさくなってしまい、主将にバッターが回ってくるのは、まだのはずだが紛らわせるために、と思った。
「違うよ、菜月ちゃん。菜月ちゃん、呼んでよ」
あまりにもしつこくて、そうとう呼んで欲しいとは。
「隆さん」
そう呼ぶと、肘を崩して手を机に思いきり付けて顔と顔の距離が近くなっていくのがわかる。
「ちょ、ちょ、主将さん。近いです」
距離が近すぎて、あまりにも近くて、この人は何を考えているのか。
「あ、ごめん、つい」
つい……?
これって、ついやってしまうことなのか。
私が止めなかったらこの人はきっと私にキスを求めていただろう。
ぁ、はぃ、野球マネージャーしてますょ!
主将さん、どーしちまったの!!??
ぁー、続き気になります(*・・*)
>>75 日向様
野球してる男の人ってかっこいいですよね ♪"
女の子1人だとやっぱ複雑ですね (´・ω・`)
楽しみに待って頂けたら嬉しいです !*/
**
「菜月ちゃん、あのさ…」
もうこれ以上何か言われるとさすがに困る。
それに私にとってこれが初めての練習試合だから相手チームのスコアも書かないといけないし、集中が途切れてしまう。
顔がまだ近くにあり、バッターが見えなくて審判の声でストライクがボウルかを判断しなければならない。
「主将」
その声は蓮汰だった。
私が困っているのを真っ先に察して、助けてくれたのだろうか。
本当にありがたい存在だ。
主将は蓮汰に呼ばれ、「試合終わったら一緒に帰ろうよ」という一言を残しバット振りの練習をしている蓮汰達の元へと駆け付けた。
蓮汰と目が合い、私は手と手を合わせ頭を下げてありがとうと示すかのようにした。
すると、蓮汰は答えることもなくバット振り練習へと戻った。
「ストライク」
主将がいなくなって、審判の声と空振りをするバッターが見える。
「打てるぞ」
監督さんがそう励ますとそれに答えるかのようにヘルメットに手を当て、再びバッターボックスに戻り気合いを入れ直す。
「ストライク!」
だが高速ボールを投げてくるピッチャーには勝てなかった。
「あと1アウトだけど行けるぞ」
**
「代打、お前行け」
拓真くんのバッターの順番だったのだが、監督さんが指したのは、野崎先輩だった。
私は嬉しい気持ちでいっぱいだったが、野崎先輩はまさか、と言う顔をしていてきょとんとしている。
「いけー、野崎!」
ベンチは完全にテンションが上がっており、野崎コールまで起こっている。
もちろん、拓真くんもそこの中に入っていて笑顔で送り出していた。
「頑張って下さい!!」
私も部員と同じように、まだよく状況がわかっていない先輩を励ます。
そして、先輩はヘルメットを被りバットを持って一歩一歩バッターボックスへと近づいていった。
もしかしたら、初めてピッチャーに立ち向かう先輩を見たかもしれない。
「ボウル」
ボールを見たというか、どちらかといえば、緊張をし過ぎて手が動かなかったという感じだ。
まだ緊張が見られ、バッターボックスのなかで足を動かしたり何度も自分が被っているヘルメットを触ったりしている。
「ストライク」
振ったが間に合わず空振りをしていた。
タイミングが合わないのか。
わずか3球で追い込まれ、カウントは1ボウル2ストライクとなった。
「打てるぞお」
注目は両チームとも野崎先輩にあった。
「うおぉぉ!!!!」
次の瞬間、野崎先輩が振ったバットに当たったボールは鳥のように鮮やかに空を大きく飛び、外野を超えた。
「走れ、走れー!」
打て、その次は、走れ。
まさに野球をやっている。
打ったら、ベースを駆け回る。それが野球だ。
「野崎ーっ」
外野のボールは内野へと返されそこからボールがホームベースへと戻ってくることはなかった。
が、野崎先輩はダイヤモンドを全力疾走で走りきり、ホームベースへと一直線だった。
「やったな!!」
大きな歓声が、今までバッターボックスで固い表情をしていた人を自然と笑顔へと変えてゆく。
あれから点数が両者とも入ることはなく、1対0でこちらの勝利で練習試合が終わった。
野崎先輩はランニングホームランと記録され、努力をすれば必ずいつかは報われるということをこの人はみんなに教えてくれた。
ぽち。さん!
こんばんは、初めまして。
「 希空 (*´つω・。) Noa 」という奴です←
ぽち。さんの前回の小説、『 先輩。 』
すべて読ませていただきました!とっても面白かったです!
すごい、きゅんきゅんしました! ( 笑、
今回のぽち。さんの小説、『 部活。 』まだ少ししか読むことが出来てませんが、
とても、面白いし、すんごい才能あると思います! ( うん、ほんとに、
これからも頑張ってください!更新、楽しみに待ってます(*´艸`*)
訂正
× ぽち。さん
○ ぽちさん
すべてに「 。 」が付いてしまって、本当にすみませんでした!
>>79
希空(*´つω・。) Noa 様
「先輩。」の方も読んで頂いて、本当にありがとうございます !!!*
いやいや、まだ皆さんの文才には勝てませんが…。
これからも是非よろしくお願いします (*´エ`*)
**
次の日の野球部とソフトボール部とサッカー部のグラウンドの部活は、昨日の野崎先輩のランニングホームランの話題でいっぱいだった。
今まで試合に出ていなかったし、それに拓真くんとの事件もあり、あまりいい評判ではなかったのだが、顔が整っていることもあり、特にソフトボール部の部員はみんなが注目していた。
「マネージャー、」
……と思っていたら、野崎先輩が野球着を着てこちらへ走ってくる。
「昨日はお疲れ様でした」
半日の試合だったが、点数が入らない試合だとやはり疲れが溜まっていて、みんなはとっとと帰ってしまったから誰とでも話せず終わっていった。
「昨日はありがとう」
え……。
私は別に何もしていないし、お礼を言うのは部員のみんなもあると思う。
それに、野崎先輩の努力だし。
「マネージャーのお陰で頑張れたんだ」
笑顔でそう話しかけてくる彼は、なんだか嬉しそうでこちらまで嬉しくさせてくれる。
「これからも頑張って下さい!」
私はずっと応援していますから。
絶対にこの人は私の気持ちを裏切らないだろう。
「あのさ、これからも近くで俺のこと見ててよ」
「もちろんです!」
それがマネージャーの仕事だから。
野崎先輩だけでなく、野球部員、全員これからも見守るし、このチームに私がいないといけないと必要とされるのを目標として、それからみんなで甲子園に行けるように頑張っていこうと入部した頃から思っていたことだ。
「そうじゃなくて、部活以外のところでもずっと近くにいてほしい」
いきなりのことで。
でも、野崎先輩は淡々と私に告白をしてきた。
じんわりと自分の顔やら耳やらが暑く赤くなっていくのがわかった。
**
「……告白、ですよね」
告白と確かなわけではないから、勝手に答えを出すのは失礼だと思った。
「おう」
野崎先輩は顔を赤くすることもなく告白をしてき、余計に緊張をしてくる。
心臓のドクドクという音が彼にも聞こえてしまうのではないか、というくらい激しく動いている。
「あの……」
私の答えは迷うことなく、決まっていた。
「ごめんなさい」
嫌いだからではない。
だけど他で恋愛禁止とされていない部活で関係を見てきて、別れてしまい気まずくなって部活に出れなくなってしまう人がいると聞いたことがあるから、この野球部で恋愛禁止になっている理由が少しわかった気がする。
それに、あまり今は彼氏が欲しいなんて思っていなくて、マネージャーに懸命に取り組みたいと思っているし。
「そっか、わかった」
先輩の顔は一瞬下がったものの、またいつものような素敵な笑顔を見せた。
作り笑いなんて決してしない。
「あ、でも今までどうり楽しく接して下さいね」
私も野崎先輩の笑顔に負けないくらいの笑顔を向けた。
「可愛いよ、その笑顔」
私の上がっている頬を触り、練習へと戻っていった。
さっきの野崎先輩は違和感がありまくっていたけど、普段どうりになってくれてこちらも安心した。
告白を断ったことで、気まずくなってしまうかもしれないとも思っていたけど、この人はそういうタイプではなく結構あっさりしていて本当に安心。
「よし頑張ろ」
急いでみんなの練習しているグラウンドへ向かう。
「マネージャー」
練習試合が終わったため、ユニホームのゼッケンを取る仕事が待ち構えていた。
正直、裁縫は出来ないんだけど……。やるしかない。
**
「おっそ」
さっさと練習を見てアドバイスをしたらいいのに、いちいち私に愚痴愚痴言ってくる監督さん。
「まさか、岡田さ、家庭科出来ないでしょ」
図星で言われたため、もう嫌になってついに無視をして関わらない方向性へと考えを変えた。
「絶対これ俺の方が上手く出来るよな」
私が持っていたゼッケン付きのユニホームとハサミを取り上げて、監督さんがせっせとやり遂げて、それも早いのに綺麗に出来ていているから余計ムカつく。
「これ全部俺が今日中に終わらせてあげるから、お前は1日監督やれ。どうせお前が裁縫やってたって1ヶ月かかっても終わんないから」
今日中にゼッケンを外すように言われていて、でも私がやるとなったら絶対終わらないから、そこは助かったけど、監督を変わって私がやるのはちょっと無理かな。
「早く動け」
鋭い目でこちらを睨んできたため部員の元へと行くしかなかった。
「あれ?監督は?」
なかなか顔を見せない監督さんが気になっているようだ。
やっぱり監督さんは必要とされてるのに。
「お裁縫やってます」
なんで、と驚いている。
誰だって驚くだろう。だってあの見た目が頑固なオヤジっぽい人が裁縫をしているのだから。
バットをビュンビュン振り回して部員を怒鳴り付けるのではなく裁縫をしているのだから。
「私が1日監督ということになっちゃって……」
これまた驚いている。
いつも対して動かないし、ランニングに誘われてもやりたくないと断ってばかりで運動ができるなんて印象が無いだろう。
**
「こんなマネージャーちゃんに監督なんて出来んのかな」
キャッチャーをしていり先輩がポロッと溢した一言は私はあまし気にならなかったが、蓮汰はなんだかムスッとしている。
「……蓮汰?」
みんなよりも遠くにいる蓮汰だが、表情はこちらにもハッキリと見えてくる。
「お前、出来ねーだろ。監督なんて。いっくら1日だからってさ」
返ってきた言葉は私がイメージしていたものと違い、固まってしまった。
てっきり、蓮汰の顔はムスッとしていたように見えたから、「こいつなら出来る!」というようなことを言ってくれると思っていた。
「ま、いいっしょ。菜月ちゃん元気だし、1日くらい楽しくワイワイ野球やろうぜ」
やはり、こういうところできちんとまとめてくれるのは主将だ。
主将の本音を聞いたことがない。
いつだって、みんなのことを考えて、正しい判断をしてくれる。
「やるっか!!」
最終的にはみんな乗ってくれて全員で、私が率いるチーム練習がスタートした。
「今日は楽しく頑張りましょう!よろしくお願いします」
「「おぉー!!!!」」
私の一声で野球部が始まった感じがする。
いつもは練習前には組まない円陣を組み、気合いを入れ直して練習を始めることにした。
「監督、何しましょうか」
いきなり頼ってくる部員たち。
いつもは練習メニューが一通りあってそれを文句ひとつ言わずやっているが、さすがに今日くらいは別メニューでやりたいのだろうか。
「ランニングしよ」
ジャージに着替えて、動けるような格好をしているため、私も一緒に外周を走ることにした。
いつもなら私語厳禁のランニングも私語という訳ではないが、作戦とか相手校の弱点とかを話ながらランニングをしていく。
すると、あっという間に終わった。
「今日は早く終わったように感じた」
そう聞いた瞬間、嬉しさが 込み上げてきて顔が緩む。
楽しかった、ってことだよね。
訂正
× 「キャッチャーをしていり先輩が …… 」
◯ 「キャッチャーをしている先輩が …… 」
すいませんでした。
以後気を付けて書いていきたいと思っています。
これからも読んで頂けると嬉しいです m(__)m
**
「次は?」
いつもだったら、ランニング後はキャッチボール。
だから、キャッチボールでもやろうかな。
「キャッチボールで」
だと思った、というように直ぐにグローブとボールを持ち、いつものペアでキャッチボールをしようとする。
「んで、今日は1年と2年のペアでキャッチボールをして下さい」
これをやることに意味はない。
だが、1年と2年でキャッチボールをすると2年にとっては、これといって利点はないが、1年にとってはたくさんのことを学ぶことのできるからチャンスだ。
「お前、組もーぜ」
先輩から後輩を誘っているという感じ。
例え、その先輩と合わなくたって断ることなど出来ないから仕方なくやってるなっと思うペアも見られた。
しかし、やっぱり何があれ得るものは多いだろう。
「マネージャー、悪いけどボール取って」
目の前にあるボールに気付かず突っ立っていた。
「いきまーす」
久しぶりに投げたボールはコントロールがダメダメで少し高めに相手に投げてしまった。
「ありがとう」
へなちょこのボールだったけど上手く掴んだ。
グローブを上にあげてお礼を言った。
「マネージャー、危ない!」
すると次は、顔ギリギリにボールがきた。
もう少し顔が出ていたら絶対当たっていただろう。
「ごめん」
急いで謝りに来て、ボールを取ってまたキャッチボールに戻った。
この位置で部員を見るということは本当に危険なんだということが身で感じた。
迫力がありすぎて、逆に私はこういうのが好きなんだけどね。
**
冬じゃないから肩を温める訳ではないけど、ある程度肩を慣らすキャッチボールをし、次のメニューへと移る。
「バッティングやりましょう!」
バッティングは、部員みんなが好きな練習だ。
ストレスを全て吐き出せるし、いい当たりをすれば、その分飛んでいく。
「トスからで」
トスバッティングは、ペアになって1人が投げて、1人がネットに向かってひたすら打っていく。
これもキャッチボール同様に先輩と後輩のペアでやるようにした。
本来の監督さんは、こういうときはアドバイスなどをしているけど、私はアドバイスなんてとてもじゃないけど出来ないから、見ているだけだと何だか物足りない気もする。
「監督さん」
あまりにもやることがなくて、お裁縫をしている監督さんの元へと行くことにした。
「お、みんな楽しそうにやってるな」
いつもはキツい練習で笑いなんて見られることがないけど、今日は緩い監督だから笑いながら楽しそうにやっている。
「お裁縫ありがとうございます」
監督を代わりにやるなんて初めは絶対に私には出来ないだろうって思っていた。
でもやってみると、部員1人1人の個性が改めて見ることができたり、みんなと一緒に動いたりするのが面白くて、やらしてもらえて本当によかった。
「お前も練習やればいいじゃん、暇そうだし」
私の話にちゃんと答えてくれる監督さんだが、黙々と選手のユニホームに目をやり、ゼッケンとユニホームを繋いでいる糸を次から次へとほどいていく。
「今日中なんでお願いします」
少しだけ話して再び練習へと戻った。
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「マネージャー、トス終わったよ」
私と監督さんがいなくたって、一言二言は喋っていただろうが、笑わずにひたすら打ち続けていた。
「次何やります?私、打てないからノックなんて出来ませんよ」
いつもは監督さんが打っていて、それでノックをしているが、どうしよう。
……あ。
「コーチ、ノックお願いします」
コーチはいつも練習試合で審判をやってくれたり、合宿へ行ったりすると食事の管理などをしてくれたりしている。
野球経験者だから打てるし、部員とバッティングセンターに行くこともあるらしい。
「俺?」
20代の若いイケメン。
名前は知らないが、この高校の先生ではない。
会社員で、部活の時間になると毎日のように来てくれる。
「はい!お願いします」
少し考えたようだったが、「お前ら走れよ」と言いバットを持った。
「守備着けー!」
部員はバットを置き、使ったボールを拾い集めると、グローブを片手に自分の守備についた。
「いくぞ!!」
そう言いながら、コーチはノックをしていく。
監督さんよりも若いせいか、球が始めから速い。
だが、部員も負けてはいない。
そのボールを素早くグローブに流し入れていく。
「マネージャー、ボール出しお願い」
バットで打つコーチにボールを次から次へと渡していくという仕事を任された。
私も部員と共に声だしをしながら。
「ナイスプレー」
スライディングしながらボールをフライで捕ったライト。
みんなが褒める。
**
「お前ら上手くなったな」
コーチ自らがノックをやり、見ていてわからなかったところがわかったらしく、苦手なことや得意なことが確認できたらしい。
「またノックやって下さい!」
主将が言うと、「またやらせてね」と答えた。
監督さんは結構いい年だから、コーチがノックをやり、監督さんは外から見ていてアドバイスをすればいいと思った。
だけどそんな簡単には監督さんは許さないと思うけどな。
「次は、声だしの練習をやりましょう」
これはいつもやらない練習だ。
こんな声だしをやる時間があれば、バットを1回でも多く振るのが当たり前だから。
だけど私はそれよりもこのチームには声が足りていないと思った。
始めは出ていたとしても、だんだんと薄れていく。
声は何よりも選手には励ましになる。だからこそ、声をどの学校よりも出せるチームになりたい。
「なにやる?」
「学校の校歌を歌います」
甲子園に出場したら必ず歌う、校歌。
だから校歌を歌い、声だしをすることにした。
みんな甲子園なんて程遠い存在だと思っているから、少しでも行けるんだ、目指そうという気持ちになるように。
「じゃあ、いきます。1、2、3、はい」
「………」
合図まで出したのに、誰も歌わなかった。
どうして?恥ずかしいから?ばかばかしいから?
「なんで歌わないんですか?」
みんな揃ってそっぽを向いた感じがした。
「意味ある?」
どうやら私が考えていたことが伝わっていなかったらしい。
言わないと伝わらないのかな……。
**
「甲子園に出ることになったら歌うことになるから練習しておこうと」
そう言うと、ざわつき始めた。
「甲子園とか本気で言ってる?この学校、一回も甲子園なんて出たことないんだよ」
私立高のくせして、野球部はあまり他の部活に比べて援助されていない気がする。
だが、それが原因で甲子園に行けないわけじゃない。
みんなが甲子園を遠いものだと思っているからだ。
「なら甲子園に出て、それを変えればいいじゃないですか」
サッカー部は毎年地区大会優勝、バスケ部は男女ともに全国大会出場の常連、陸上部は全国大会優勝を毎年のように争っている。
運動部だけでない。
文化部の吹奏楽は県大会出場、演劇部はいろんなところから注目を浴びている。
そこに野球部も加わればいいのだ。
「そんな簡単じゃねーんだよ」
みんな、あなたたちと同じ学年の人ばかり。
同級生なのに怖がっていてどうするんだ。
「簡単です、勝てるんですから、このチームは」
毎年のようにテレビで甲子園予選から甲子園までずっと見ていたが、勝っていくチームはひとりひとりがやるべきことをきちんとやりこなしていき、ミスをしても声を掛け合って、マウンドにちょくちょく集まっている感じがする。
このチームはそれが出来ている。
あとは実力を付けて、全てを出しきれば勝てる。
「みんなで目指しましょうよ、甲子園」
えー、とか言いながらも「歌おう」という声が聞こえた。
「だな、甲子園行けなくても学校で歌えばいいしな」
よし。これから、全部員が甲子園を目標にしてくれるようにするのが私の課題だ。
**
「やりますね、3、2、1、はい」
私が指揮者となり、部員が照れながらも歌った。
活動を終えた吹奏楽部が野球部のグラウンドをジロジロ見て通りすぎてゆく。
知らない人にとっては、すごく下らなくてバカバカしいのかもしれない。
それでも夢を仲間と共に叶えるのはみんな同じ。
「もう一回歌おーぜ」
生意気な1年は他の部活に見せつけたいらしく、ノリノリに歌った。
「じゃあさっきよりも大きな声で!」
とてもじゃないけど、それは歌とは言えないような音程の外れよう。
でも、野球部らしい低めのキーで上手く歌っていく。
2回目はみんなの姿勢が変わり、応援団のように体をえびぞりにして手を後ろに組んで腹の底から歌っている。
「めんどくさい部員達だね、ほんと」
「は?」
__あ、
つい口に出してしまった。
やる気が出れば一生懸命やるのに、出るまでは長いしみんなまとまってるから私が説得しても効果なくて、だけど部員の誰か1人が揺れれば全員揺らぐ。
「なんでもないです、すいません」
強い視線を浴びたがもう慣れた。
「今日はこれで終わります、お疲れさまでした」
1日監督はこれにて終了した。
本物の監督さんに挨拶をし解散となった。
「おいちょっと待て、全員こっちこい」
監督さんの誘導で野球部の部室までやって来た。
部室の前に置いてあるベンチにクーラーボックスが数個並べられていた。
「1人1個持ってけ」
監督さんが差し入れをくれた。
監督さんが差し入れを持ってきてくれるのは本当にあるかないかで、試合があっても差し入れがない日だってある。
のくせして、今日はただの練習なのに差し入れがある。どうして?
**
クーラーボックスの中には冷えきっているカラフルなアイスキャンディーがたくさん入っていた。
きっと子供の好みがわかんないからお店にあるアイスキャンディーを端から端まで買ってきたんだろう。
差し入れがあって監督さんらしくないないなっと思っていたが、やっぱりこういうところに監督さんらしいところが隠れていた。
「ありがとうございます」
袋をちぎり、アイスキャンディーを口の中に入れる。
汗をかいていたのが嘘のように一瞬で汗はなくなり体が冷めていく。
ソーダ味に当たった私はあまりの冷たさに歯が痛み始めみんなのようにバクバク食べれなくなった。
すると、アイスキャンディーが溶け始めて手に垂れてくる。
「これ」
裁縫道具とゼッケンと不器用に畳まれたユニホームを監督さんに渡された。
「ありがとうございました、本当に助かりました」
「おう」
意外と家でも奥さんの手伝いとかしてるのかな、とか考えたりしたがあの性格からして多分やってないな。
「すいません、ちょっと手汚ないんでもう少しだけ持ってもらっていてもいいですか?」
嫌な顔をしながらだったが、ちゃんと待っていてくれた。
「ありがとうございます。これどこに保管します?」
「部室に適当に置いといて」
「はい」
**
部室の奥の方の棚にユニホームとゼッケンを重ねて置いておいた。
ホコリとか砂とかがすごく多い部室に保管するのは少し抵抗があるが、使う前に洗えばいいから、それに他に保管する場所がないから仕方なく部室の綺麗なところに置いた。
「……今日はお疲れ」
部員はもう帰っていったが、監督さんは部室の前で待っていてくれた。
「こちらこそお裁縫、ありがとうございました」
すると、エクレアをくれた。
多分このエクレアは私だけに用意してくれたものだ。
「これ貰ってもいいんですか?」
実を言うと、今はダイエット中。
最近動いてるはずなのに体重は増えていく一方。
いっぱい動くからすぐお腹が空いてたくさん食べてしまうのが原因だろう。
だからなるべく朝食、昼食、夜食の三食以外で摂取するのは避けていたのに。
「お前がチームを変えた」
そのご褒美にエクレア。
すごく嬉しい。嬉しいけどアイスキャンディーも食べたばっかだから、明日食べることにすることにした。
「お家で頂きます、ありがとうございます」
監督さん、やっぱり好き。
一番チームを思っていないようで、誰よりもチームを愛しているのは監督さんだと思う。
「明日も頼んだぞ」
シャイな方は苦労されてるんだなとか思った。
監督さんみたいな人は絶対に伝わりにくい。
これが部員に届いていてくれてればいいのだが、これがまたこの部員らはみんな揃って鈍感。
気づいたときには卒団してるだろうな。
「明日もよろしくお願いします」
エクレアをリュックサックに入れて私も門へ向かった。
**
「ただいまーっ」
エクレアを貰ったり、嬉しいことを言ってもらったりしていつもは疲れて玄関に入っても「ただいま」と言うことは少ないのだが今日は気分が良い。
「おかえり、お疲れさま」
リビングに入ると、お母さんは夕食を作っていて、焼き肉のタレの匂いがリビング中に広がっていて食欲が湧いてきた。
「これ、蓮くんがなっちゃんにって持ってきてくれたよ。1日監督やらしてもらったんだね」
お母さんは私にコンビニのビニール袋ごと渡した。
「コンビニってそのまますぎるじゃん」
「いいじゃん。なんか蓮くんらしい」
コンビニのビニール袋の中には炭酸飲料やスナック菓子、グミなどたくさん入っていた。
**
「蓮くんにお礼かなんか言っておきなさいよ」
うん、と頷きリュックサックとコンビニのビニール袋を持ってジャージのまま2階の自分の部屋へと向かった。
「はあ」
部屋に入った瞬間今まで溜まっていた疲れが一気に込み上げて来た。
【ありがとう】
私は一言だけ蓮汰にLINEのメッセージを送った。
いつもは即急に返ってくるメッセージがなかなか返ってこない。
__ただ忙しいだけだよね。
「なっちゃーん、ご飯出来たよ」
そう言われてスエットに着替え直して1階に降りていくと、珍しく家族全員が揃っていた。
「お、お兄ちゃん!久しぶりだね」
2、3日見ていなかったお兄ちゃんの顔。
相変わらずの顔でかっこいいような……でもやっぱり兄弟だからそうは思えない。
「よっ」
小さく手を上げて挨拶を交す。
「マネージャー順調か?」
「まぁね」
うちのお兄ちゃんは彼女がいるから部活とかも色々で大変だけど、私の場合は彼氏がいないからマネージャーをしていたって何とも思われない。
「お前モテるだろ、野球部のマネージャーとか。いくら不細工でもお前程度だったらちょっとはモテてもいいんじゃね?」
上から目線なのは本当に直して欲しいところなんだが。
**
「そりゃ、1回くらいは告白されたよ」
自慢気に話すと「1回だけかよ」と突っ込まれた。
可愛い目も可愛らしいアヒル口もいいくらいに掛かった天然パーマも鼻が高いのも親の良いところを全て取っていったのはお兄ちゃんだ。
「甲子園行けるようにお前がサポートしてやらんと」
さっさと夕食を食べて、再び2階へと上がった。
プロ野球はよく見ていて結構詳しい方だが、甲子園は全くわからない。
どの高校が強くて、どの高校が優勝しているのかすらわからない。
インターネットで検索をかけてみるがうまくヒットしない。
【蓮汰:太らないようにしろよ】
丁度いいところに蓮汰からLINEが来たから、蓮汰に甲子園のことについて教えてもらうことにした。
【はいよ(`・ω・´)】
【てかさ、甲子園のことについて教えてよ。全くわかんないから】
すると、すぐに返事が返ってきた。
【蓮汰:わりぃ、俺甲子園とか興味ないわ】
確か中学校の頃とか、野球が強い高校に入って甲子園出る!とか言っていた気がしたけど……。
気のせいだったのか。
【そうだったっけ?】
【蓮汰:おう】
どうやら、あの話をしていたのはもしかしたら蓮汰じゃなかったらしい。
【じゃあ明日ね〜】
既読は付いたものの、それからの返信はなかった。
**
最近、蓮汰は向かえに来てくれなくなり、朝早くから1人で電車に乗って学校へ行く。
みんなよりも早く学校にいくため丁度通勤ラッシュと重ならずに行けるから問題はないけど。
「おはようございます」
昨日の今日もあり、みんな気合いが入っていていつもよりも早めに集合していた。
「岡田」
監督さんもいつもはノソノソ来るのだが今日は早かった。
「お前以外には話したんだけど昨日みんなが帰った後に蓮汰が来てな、これ」
みんなに伝わったのは多分連絡網だ。
私は連絡網に加われていないため知ることが出来なかった。
これ、といって見せてきたのは学校で指定されている正式な退部届の紙だった。
きちんと印鑑も押してあり受理されるものだ。
「どうして……」
特にいじめられていたわけでも、誰かに憎まれたりしていたわけでもない。
私には心当たりがなくて、どうして辞めることに決めたのか全く理解できない。
「あいつ最近ガラの悪いやつらと絡んでるらしいぞ」
拓真くんが口を開いた。
ガラの悪い人?
小学校の低学年だったときなんていじめられっ子で弱々しくて頼りなかったあの蓮汰がどうしてそんな人達と話が合うの?
「マネージャーなんか知らないの?」
私は横に首を何度も振った。
でも何となく昨日のLINEの返信の内容がわかったような気がした。
確かに蓮汰は甲子園に憧れていた。
……もう野球が嫌いになっちゃったのか。
「監督さん、蓮汰がそれ届けに来たときなんか言ってませんでしたか?」
「ありがとうございましたって一言だけ」
何を考えてるの?
**
あれから何度もLINEしてみたり電話をしてみたりもしたが、スルーされている。
LINEに関しては既読は付くものの返信はない。
「蓮汰、学校にも来てないらしいよ」
ついに学校にまで来なくなった。
あれほど学校が好きだったのに。
「なんかあったの?」
「ん……」
部員らも思い当たることがないらしい。
ガラの悪い人達と遊んだりするのは別に悪くないとは思っている。それが蓮汰にとって居心地のいいのならば。
だけど合わないのに無理をして釣り合おうとしているのなら、今すぐにでも遊んだりするのはやめて欲しい。
「私今日、蓮汰の家行ってくるね」
俺らも行かせて、と言ってきたがもしものことが合ったときに彼らにはガッカリしてほしくない。
だから今日は私1人で行くことに決めた。
「じゃあ報告待ってる」
なぜ連れて行かないかという理由は話さなかったが、いくら鈍感でもこれくらいのことは察してくれた。
__ピンポーン
「菜月です。蓮汰いますか?」
インターホンには答えず玄関から顔を出したのは蓮汰のお母さんだった。
「ごめんね、最近帰ってないの」
家にも帰らなくなってしまった。
どこでなにをしてるのかな。
どこで寝てるのかな。
ちゃんと寝れているのかな。大丈夫かな。
「理由がわかんなくて」
お母さんも心配そうな顔をしていた。
前よりも老けた感じが見られて、きっとお母さんは私達よりも、うんと心配している。
……早く帰って来なよ。
「ありがとね。わざわざ」
お母さんが焼いたクッキーを持たせてくれた。
これも蓮汰のために作ったクッキーだと思うと何だか貰いにくかったが断るのも失礼だと思ったから貰っておいた。
食べるのはまだやめよう。
「帰って来たらまた連絡下さい」
ニコっと微笑んで蓮汰の家を後にした。
あげ
102: アーヤ◆TQ:2017/09/16(土) 15:56良い感じで面白
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